7月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが前月に比べて鈍化したものの、労働市場の回復が続いていることが示された。新型コロナウイルスの感染が再び急拡大している中でも、景気持ち直しの動きは停滞していないことを示唆する。
キーポイント |
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・7月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比176万人増 ・ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値(148万人増)を上回った ・前月は479万人増(速報値480万人増)に若干下方修正された ・家計調査に基づく失業率は10.2%に低下 ・市場予想は10.6%への低下 ・前月は11.1% ・「U6」と呼ばれる不完全雇用率も16.5%に低下 ・前月は18% ・U6にはフルタイムでの雇用を望みながらもパートタイムの職に就いている労働者や、仕事に就きたいと考えているものの積極的に職探しをしていない人が含まれる |
今回の統計は、新型コロナ感染拡大が引き起こした景気後退(リセッション)の底から米経済が抜け出しつつある中、労働市場が持ち直していることを示す。ただ、失業率は高止まりしている上に、今後の道のりも平たんではないとみられる。週次で発表される米新規失業保険申請件数は、雇用市場の回復ペースの鈍さを示唆している。事業者の間では政府プログラムで得た資金が底を突きつつあり、失業保険給付の上乗せ措置失効は個人消費を圧迫する。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の米経済担当責任者、ミシェル・マイヤー氏は「経済活動の再開当初の持ち直し時期は過ぎたので、当然のことながら雇用創出ペースは幾分緩む」と指摘。「米労働市場の完全回復という点では、まだ長い道のりがあるが、進展はしている」とコメントした。
7月の非農業部門雇用者の総数は、新型コロナ感染のパンデミック(世界的大流行)前であった2月の水準をなお1300万人ほど下回っている。
雇用統計の発表元である労働省は、失業者を雇用状態にあると誤って分類しているケースを調整すれば、失業率は約1ポイント高かったとの推計を示した。
7月の雇用者数の伸びは、レジャー・ホスピタリティー業界で活動再開の動きが広がったことを反映している。飲食店の雇用者数は50万人増えた。小売業界も25万人超と、前月よりは鈍化したが引き続き増加した。
一方で製造業は2万6000人増にとどまり、市場予想を大幅に下回った。金属製品や機械、コンピューター、電子機器といった分野で減少したことが響いた。自動車メーカーの雇用者は3万9000人余り増えた。
地方政府の雇用者数は、季節調整の影響で24万1000人増と大幅な伸び。連邦政府は国勢調査に伴う臨時雇いもあり、2万7000人増加した。
人種別の失業率では、アフリカ系米国人が14.6%に改善したが、白人の9.2%、ヒスパニック系の12.9%より高い。男女別では女性が10.5%、男性は9.4%へとそれぞれ低下した。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Job Growth Tops Estimates, Signaling U.S. Rebound Is Grinding On(抜粋)