親民主派の香港紙「リンゴ日報」創業者の黎智英氏=6月16日、香港(AFP時事)
親民主派の香港紙「リンゴ日報」創業者の黎智英氏=6月16日、香港(AFP時事)

 【香港時事】香港警察は10日、民主派寄り香港紙「リンゴ日報」創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏(71)と著名活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏(23)を国家安全維持法(国安法)違反容疑などで逮捕した。香港メディアによると、2人には、外国勢力と結託し国家の安全に危害を加えたなどの疑いが持たれている。

香港「一国二制度」崩壊を導いた「大物フィクサー」

 10日には、ほかにもリンゴ日報関係者ら8人が国安法違反容疑などで逮捕された。これまで同法を適用しての逮捕者は、デモ参加者や「香港独立」を主張する団体関係者にとどまっていたが、当局は今回、メディア界の大物や国際的に知名度のある活動家にまで摘発対象を広げた。詳細な容疑内容は不明だが、警察は同日夜に記者会見を開き「(関係者は)外国に対して香港への制裁措置を求めていた団体に資金援助をしていた」などと説明した。

 警察当局は10日、リンゴ日報を発行する壱伝媒(ネクスト・デジタル)のオフィスを約200人態勢で家宅捜索した。逮捕者には黎氏の息子2人も含まれているという。

 黎氏自身は米国との結び付きが強く、反政府デモが多発した昨年には、ポンペオ米国務長官らと会談して香港の現状を発信するなどしていた。黎氏は4月にも違法集会に参加した容疑などで逮捕されている。日本語が堪能な周氏は、これまでたびたび訪日し民主派への協力を求めたり日本メディアへ積極的に発言したりしてきた。今月5日には、違法集会を扇動した罪などで有罪判決を受けていた。