【北京時事】中国の習近平国家主席が「飲食の浪費行為の断固阻止」を指示し、食べ残しの根絶を目指す方針を打ち出した。習氏は、宴席で食べ切れない量の食事で歓待する中国の慣習を問題視。国内で発生した水害や米国との関係悪化で食料不足に陥ることへの懸念もあるようだ。
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共産党機関紙・人民日報は12日付と13日付の1面で、習氏が「飲食物の浪費は衝撃的で心が痛む」と語り、食料を無駄にしないための対策を取るように命じたと伝えた。中国都市部の外食産業で1年に出る残飯は1700万~1800万トンと推定され、3000万~5000万人分の1年間の食料に相当するという。
習氏は2013年から食べ残しをしないように求めている。習氏が改めて指示を出したのは、食料問題が切迫する可能性があると判断しているからだ。習氏は「食料の安全確保について常に危機意識を持たないといけない。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大はわれわれに警鐘を鳴らしている」と述べた。
中国では今年、長江流域を中心に大雨による水害が起きている。食料の輸入先である米国との関係が極めて悪化していることも不安材料だ。習氏は米国との対立が深まる中、「自力更生」「持久戦」を訴えてきた。今回の「食べ残し禁止」の呼び掛けも長期的な覚悟を国民に求めたものといえる。
習氏の指示を受け、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は、飲食の浪費を抑制するための法整備について検討を開始。国営中央テレビは、ネット上で人気となっている「大食い」を誇る動画を「食べ物を無駄にする極端な事例」と批判し、食料の節約を訴えた。