夏といえば世界中の注目を集めるのが中国の北戴河会議だ。今年も7月下旬から8月上旬にかけて開かれたと言われるが、例年と同様に中身はほとんど伝わってこない。そんな中で昨日、Yahooニュースが「中国の長老が習近平首席を叱りつけた」というニュースを配信した。これが事実なら今後の米中関係を占う上で極めて重要な情報になる。北戴河会議というのは中国の避暑地である北戴河で政権の主要メンバーと、現役を引退している長老などが集まって開かれる会議とされている。一説には長老のガス抜きが目的との説もあるが、その昔、毛沢東がここで会議を開いたことが始まりとされる。現役を引退しても隠然とした影響力を保持している長老が、執行部にあれこれ注文をつける会議とも言われ、この会議でなにが話しあわれたか、毎年世界中が注目している。

今年もこの会議が開かれたという情報はかなり前にあったが、中身についてはほとんど報道されていなかった。そんな中で昨日、評論家の平石氏がニッポン放送の番組で、「今年の北戴河会議では、習近平のやり方を良く思っていない現指導部と胡錦涛や温家宝らの長老たちが、習近平をつるし上げ、対米関係の改善を求めた。その結果、アメリカに対しては融和政策をとっていくようだ」と話した。その結果だろうか、今朝、ブルームバーグは「中国が米国産原油の購入拡大、前月の2倍余りとなる可能性」というニュースを配信している。平石氏は米中関係の改善を求める長老の狙いは「アメリカとの関係が徹底的に悪化すると、長老たちの親族がアメリカに持っている資産・財産が凍結されてしまうことを恐れている。だから長老たちも必死」だと話している。なんと下世話なことか。中国の長老は大人には程遠い。習近平氏の一人勝ちもむべなるかな、そんな気がしてくる。

日本に対してはどうか。二つの可能性があるという。「一つは、アメリカに対して融和政策をとる分、より高圧的な対応に出る可能性。もう一つは安倍総理にトランプ大統領との仲介を頼む可能性。従って、尖閣諸島近辺で中国漁船がどういう動きをするかは注視しなければならない」と警戒を促した、とある。禁漁あけの尖閣諸島周辺に漁民が大挙して結集するとの見方がある。どうやら今のところ中国政府がそうした動きを抑えているようだ。ということは安倍総理がトランプ大統領と中国を仲介するのだろうか。米中の関係改善を錦の御旗に秋口に解散・総選挙か、猛暑の夏に私の貧相な脳味噌も暴発気味だ。北戴河会議は中国と世界の関係はいかにあるべきか、もっと高尚な議論をする場と思っていたが、実態は世俗に紛れた老人たちの権力欲丸出しの会議のようだ。米中関係の未来、ますます混沌としてきた。