米民主党全国大会は最終日の20日、バイデン前副大統領(77)が大統領候補としての指名受諾演説を行った。バイデン氏は「現在の大統領はあまりにも長く米国を暗闇で覆い、多くの怒りと恐怖と分断を生み出した」とトランプ米大統領(74)を非難し、「光は闇より強い。後世、米国の闇の終わりが今夜ここから始まったと言えることを願う」と訴えた。

 地元デラウェア州ウィルミントンで演説したバイデン氏は「私は民主党候補だが、米国の大統領になる。自分に投票してくれなかった人のためにも懸命に働く」と発言。支持者を重視し、米社会の分断をあおるトランプ氏との違いを強調した。

 バイデン氏はまた、新型コロナウイルスによる米国の死者数が17万人を超えて世界最悪であることに言及し、「現在の大統領は国を守るという最も基本的な義務を果たし損ねた。許されないことだ」と批判。「私は大統領としてすべての攻撃から米国を守ることを約束する」と述べた。外交・安保については「同盟国、友好国とともに立つ。独裁者に取り入る日々は終わりだとはっきりさせる」と述べ、トランプ氏と異なってロシアなどに厳しい姿勢を取ると強調した。

 バイデン氏は演説で、トランプ氏やその政治姿勢を繰り返し批判した。ただ、「トランプ大統領」と名前を呼ぶことはなく、「現在の大統領」と言い続けた。

 17日に始まった民主党全国大会は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてほとんどのイベントがオンラインで行われる、異例の「バーチャル大会」となった。バイデン氏が演説を行った会場の外には大型スクリーンが設置され、支持者らが車に乗ったまま、演説の様子を見た。