- 3830億円集めた「未来の世界(ESG)」、アマゾンなど組み入れ
- パフォーマンス犠牲にしない限り個人にも需要-運用責任者ヒュー氏
日本の個人投資家による海外株式投資への波がESG(環境・社会・ガバナンス)分野にも本格的に押し寄せようとしている。
7月設定の「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド『為替ヘッジなし、愛称:未来の世界(ESG)』」(委託会社:アセットマネジメントOne)は、日本の投信の当初設定額としては2000年の「ノムラ日本株戦略ファンド」(7925億円、委託会社:野村アセットマネジメント)以来となる3830億円を集めた。設定から1カ月、ファンドの規模は4000億円台半ばまで拡大している。
ファンドの運用責任者であるモルガン・スタンレー・インベスメント・インクのクリスチャン・ヒュー氏はブルームバーグとのインタビューで、「設定額は最初に期待していたより良かった」とした上で、「パフォーマンスが犠牲にならない限り、いよいよESGに対する需要が個人投資家の間にも表れはじめた結果だ」と述べた。
ヒュー氏は、グローバル成長株にアクティブ投資を行う独自の戦略チームを率いている。その運用方針について、「どういう産業であれイノベーションのポテンシャルを重視している」と説明する。「未来の世界」の組み入れ上位銘柄にはアマゾン・ドット・コム、TALエデュケーション・グループ、マスターカード、サービスナウ、アドビが並ぶ。だが、テクノロジーが組み入れ銘柄のすべてではないという。「教育やヘルスケアなど世界の生産性を高め、最終的には社会の健康に貢献する銘柄を組み入れていく」と抱負を語る。
また、高いリターンを追求するために、同氏のチームがイノベーションとともに重視しているのはバリュエーション。ある銘柄が20%ディスカウントされていると判断した際に組み入れ、株価のディスカウントが無くなった時点で自動的に売ることで、パフォーマンスを守っている。
同氏がESGのファクターを2016年に導入し、同じ戦略で運用するファンドに「モルガン・スタンレー・インベストメント・ファンズ-グローバル・オポチュニティ・ファンド」がある。ブルームバーグ・データによると、過去3年間のパフォーマンスは、同様のファンドのうち上位2%に入る成績をあげた。今回のファンドについても、社会に良いインパクトを与えながらもベストのリターンを投資家に与える、という2つの目標を狙うとヒュー氏は述べた。