[ニューヨーク 6日 ロイター] – ドルが上昇。トランプ米大統領が、新型コロナウイルス経済対策を巡る民主党との協議を11月の米大統領選挙後まで停止すると発表したことを受け、米景気回復の先行き不透明感が広がり、安全資産としてのドルへの投資妙味が増した。ドルが上昇。

新型コロナ感染で先週末に緊急入院し、前日退院したばかりのトランプ大統領は「大統領選が終わるまでコロナ対策を巡る協議を停止するよう指示した」とツイッターに投稿した。

OANDAのシニア市場アナリスト、エドワード・モヤ氏は、コロナ経済対策の協議停止は「経済にとり好ましくなく、リスクオフ取引が広がった」と述べた。

トランプ大統領の発言を受け、米株価は軒並み下落し、米債価格は上昇した。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はこの日行った講演で、米経済が完全回復から「はるかに遠い」とし、コロナ感染拡大が効果的に制御できず、成長が抑制されれば、下方スパイラルに陥る恐れがあると語った。

終盤の取引で、ドル指数=USDは0.41%高の93.797。ユーロ/ドルEUR=EBSは0.21%安の1.1756ドル。英ポンド/ドルGBP=D3も0.5%安の1.2912ドルとなったが、英国と欧州連合(EU)による通商協議が合意に達するとの期待から、1.30ドル近辺を維持した。

ドル/円JPY=EBSは0.19%安の105.52円。

朝方発表された8月の米貿易赤字は5.9%増の671億ドルと、2006年8月以来14年ぶりの高水準となり、第3・四半期の経済成長の重しになる可能性を示唆した。

最新の世論調査によると、米大統領選に向けて、野党民主党の大統領候補ジョー・バイデン前副大統領が支持率でトランプ大統領をリードしている。

MUFGの為替アナリスト、リー・ハードマン氏は、ホワイトハウスと議会を民主党が掌握する「ブルー・ウェーブ」実現の確率の高まりは「刺激策実施への道を開き、リスク資産への追い風となる一方、ドルを圧迫する可能性がある」と指摘した。

7日公表される9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨や、欧州中央銀行(ECB)が8日に公表する9月理事会の議事要旨が注目される。

豪ドル/米ドルAUD=D3は0.78%安の0.7123米ドル。オーストラリア準備銀行(豪中銀)の金利据え置きを受けた上昇から下げに転じた。

ドル/円 
 NY終値 105.62/105.65
   始値 105.63
   高値 105.70
   安値 105.48

ユーロ/ドル 
 NY終値 1.1734/1.1736
   始値 1.1776
   高値 1.1807
   安値 1.1733