トランプ米大統領はこれまでの民主党提案をさらに上回る規模の景気対策が望ましいとの考えを示した。ホワイトハウス側は9日のペロシ下院議長との協議に備え、1兆8000億ドル(約190兆円)規模の対策案を準備していた。

  トランプ氏は保守派コメンテーター、ラッシュ・リンボー氏のラジオ番組で「率直なところ、私は民主党や共和党の提案よりも大規模な包括的景気対策を望む」と述べ、従来のスタンスとは「正反対」の方向に転じたことを明らかにした。

  事情に詳しい複数の関係者によれば、ホワイトハウスは追加景気対策案の規模を1兆8000億ドルに引き上げ、ムニューシン財務長官が9日の協議でペロシ下院議長に提示する予定だった。ペロシ議長は5月に下院が可決した3兆4000億ドルから規模を縮小させ、2兆2000億ドルを提示。それでも共和党議員の多くは、この水準に近い案には反対すると表明している。

  トランプ氏はリンボー氏に対し、「これから君に言うのは他の誰にも言わないことだ。交渉の助けになるかもしれないし、悪影響を与えるかもしれないからだ」とし、「より大規模な包括的景気対策を私は望んでいる」と述べた。

  今回の発言はトランプ氏が自身の考えを180度転換したことを意味する。トランプ氏は6日、包括的な景気対策に関する民主党との協議停止を交渉担当者に指示していた。大統領選は3週間後に迫っており、世論調査では民主党候補のバイデン前副大統領に支持率でリードされている。

原題:Trump Says He Now Wants Bigger Stimulus Than Democrats Offering(抜粋)