【シドニー時事】ニュージーランド(NZ)総選挙(一院制、基本定数120)は17日、投開票され、アーダーン首相(40)率いる最大与党・労働党が大きく議席を上積みし、圧勝した。新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込んだ首相の指導力が支持された。労働党は単独過半数を獲得し、首相の続投は確実となった。

 アーダーン氏は支持者らを前に「労働党に50年ぶりの大きな支持」が与えられたと勝利を宣言。2期目では「コロナ不況」からの景気回復などに取り組む方針を表明した。最大の貿易相手国である中国との関係なども今後の課題となる。

 選管によると、開票率100%の暫定結果で各党の獲得議席数は労働党64(改選前46)、国民党35(同54)など。このまま確定すれば、労働党は1996年から始まった現行の選挙制度下で単独過半数を制する初めての政党となる。同党と連立を組む中道政党のNZファースト党(同9)は議席を全て失った。

 「コロナ選挙」と位置付けたアーダーン氏は、厳しいロックダウン(都市封鎖)を早期に実施して感染を封じ込め、制限措置のない日常生活を取り戻したとアピール。ソーシャルメディアを使って国民に直接語り掛ける戦略を展開した。

 アーダーン氏はまた、昨年3月に中部クライストチャーチで起きた銃乱射テロの際、イスラム教徒の遺族に寄り添う姿勢を示して連帯を訴え、有権者の共感を獲得。国民の50%以上が「首相にふさわしい人物」にアーダーン氏の名前を挙げていた。

 対する国民党は、今年7月にコリンズ党首(61)を選出。女性同士の党首対決に持ち込み、減税などを掲げて政権奪回を目指したが及ばなかった。

 政府は新型コロナ感染予防のため、期日前投票を呼び掛けた。登録有権者の半数以上の約200万人が前日までに投票した。

 総選挙に合わせ、嗜好(しこう)用大麻合法化と安楽死容認のそれぞれの賛否を問う国民投票も実施された。結果は30日に公表される。