昨日は終日、米大統領選挙の開票速報につきあった。民主党ならびにバイデン候補の圧勝を予想していた「ブルーウェーブ」は的外れに終わりそうだが、直近の報道によるとバイデン勝利の道筋がかなりはっきりみえてきた。最終的にどう決着するか、トランプ大統領の法廷闘争が絡みこちらの道筋は相変わらず不透明。そんな中で昨日は悩めるアメリカ、模索するアメリカの姿をちょっとだけ垣間見た。これはスーパーパワーとして君臨してきた米国の凋落か、はたまた、トランプ流に言えば復活へ向けた模索か。トランプかバイデンか情勢が二転三転する中で、足元では中長期を見据えた模索が始まっているということだろう。大統領選のドタバタ劇もさることながら、世界中が衰退する米国にもうしばらく振り回されそうな気がする。
大統領選挙と同時に上下両院の議会議員選挙や知事選挙が実施されているのは、大半の人が知っている。だが、それに加えて一部の州で住民投票が実施されていることはあまり知られていない。メディアも報道していないし、個人的にまったく知らなかった。日経web版によると激戦州として注目を集めているニュージャージー、アリゾナ、サウスダコタ、モンタナの各州で大麻の合法化をめぐる住民投票が実施され、大麻の使用が許可された。ミシシッピーでは医療用に限って使用が認められた。日本では考えられないことだが、芸能界に広まっている大麻の使用とこれはなにか関係があるのだろうか?アメリカで起こることはいずれ日本にも波及する。だが、これは日本には来ないで欲しい出来事だ。遅々として進まない開票に苛立ったのか、昨夜、ホワイトハウス前にアンティファ(左翼過激派)と見られる一団が出現、テレビのレポーターは現場の緊張感を伝えていた。
アンティファに限らず米国ではQアノン、プライド・ボーイズなど右翼過激派も勢力を拡大しつつある。こちらは国の衰退が招く不穏な現象か。カリフォルニア州では働き方改革をめぐる住民投票が実施された。同州では今年の1月、ギガワーカーを保護する州法が制定された(AB5)。同法によるとウーバー・イーツの配達員はウーバーの従業員だが、住民投票の結果個人事業主と認定された。これによってウーバーは配達員の社会保障費負担など経費の一部が免除される。日本流にいえば労働関係の規制緩和だ。カリフォルニアといえば民主党が強い州。人権、労働者の権利、環境意識が強い同州で労働規制が緩和されることは何を意味するのか。ニュービジネスが活性化する一方で、賃金格差の拡大を助長する可能性もある。重要なのは大統領選挙だけではない。この国の選択が世界に影響を及ぼす。衰えたとはいえ、見て見ぬふりができない現実がこの国にはある。
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