世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2020年度7-9月期(第2四半期)の運用収益額は4兆9237億円だった。新型コロナウイルスによる景気悪化に対応した世界的な金融緩和で株価が上昇、2四半期連続で黒字となった。

  GPIFが6日公表した運用状況によると、7-9月期の運用収益率は3.05%で、過去最大の収益を上げた4-6月期に続きプラスとなった。国内外の株式に加え、金利が低位安定していた内外債券も小幅ながら運用益を上げた。この結果、9月末時点の運用資産額は167兆5358億円となり、19年末に次ぐ過去2番目の大きさとなった。

7-9月期の運用収益率と資産残高

運用資産全体3.05%     
 国内債券0.19%
 国内株式4.93%
 外国債券0.64%
 外国株式5.99%
9月末の運用資産額167兆5358億円
自主運用が始まった01年度からの累積収益74兆9483億円

資産別の構成割合

  GPIFは各資産が年金積立金全体に占める9月末時点の構成比も公表。国内株式は24.06%、外国株式は25.88%、国内債券は26.61%、外国債券は過去最高の23.46%だった。このうち、外債は今年度からの新ポートフォリオで目標値が従来より10ポイント高い25%となっており、目標値までの買い増し余地は構成比が21.81%だった6月末時点から縮小した。

  リスク管理を強化するために20年度から公表を始めた国内外を合わせた債券の構成比は50.06%、同株式は49.94%だった。

年金特別会計が管理する資金も含めた積立金全体に占める構成比(9月末)

国内債券26.61%
為替ヘッジ付き外債国内債に算入非公表に
国内株式24.06%
外国債券(為替ヘッジなし)23.46%
外国株式25.88%
短期資産円建ては国内債外貨建ては外債に算入非公表に
オルタナティブ(代替)資産0.60%

  しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は、GPIFは運用収益を「順調に積み上げている。株価が上がった分、利益確定して外債にリバランスしたのではないか」と指摘。足元で円高が進んでいる中で外債購入を増やせばドル高・円安要因になり得ると述べた。米大統領選でバイデン候補が勝利すれば、ESG投資にさらにシフトしていく可能性があるともみている。