【ワシントン時事】米大統領選で当選確実となった民主党のバイデン前副大統領が指名する次期財務長官の候補に、連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン前議長(74)が浮上した。新政権が重視する税財政改革を進める上で、イエレン氏の持つ議会との豊富な調整経験が必要になるとの観測が出ている。

 バイデン氏は19日、候補者の選定を終えており、週内にも公表すると明言。「民主党の急進派から穏健派まで、すべての層に受け入れられる人物だ」と語った。イエレン氏が就けば初の女性財務長官となる。一方、ブレイナードFRB理事(58)やアフリカ系米国人のファーガソンFRB元副議長(69)も取り沙汰されている。

 次期政権は、新型コロナウイルス流行で打撃を受けた経済の再生へ、4年間で2兆ドル(約208兆円)の環境インフラ投資を通じた雇用創出を掲げる。巨額財政政策を賄うため、高所得層や企業への増税を図る。銀行規制の強化も課題だ。

 ただ、議会下院は民主党が過半数を守ったものの、上院は共和党が多数派となる可能性がある。政権と上院が「ねじれ」状態となれば、バイデン政権は幹部人事や主要政策で共和党の協力が不可欠となる。FRB議長当時のイエレン氏については、議会対応の評価が高く、人事の承認では「共和党が強く反対することはほぼ不可能」(ポリティコ紙)との見方がある。

 イエレン氏は雇用政策の専門家。2014~18年にFRB議長を務め、米景気がリーマン・ショックから立ち直る中で、金融政策のかじ取りを担った。米メディアによると、バイデン氏の選挙期間中に政策を助言した。