[ワシントン 30日 ロイター] – 米大統領選で勝利を確実にした民主党のバイデン前副大統領が、閣僚とホワイトハウス要職の指名に着手した。バイデン氏は米国の多様性を反映した政権を築くと約束しており、それに沿った顔ぶれになりそうだ。

ロイターの報道に基づき、発表済みの重要人事とその他要職の有力候補者をまとめた。

◎財務長官 ジャネット・イエレン氏
前連邦準備理事会(FRB)議長。イエレン氏の下、FRBは労働者と格差の問題をより深く注視するようになった。2018年の議長退任以降も、ブルッキングス研究所で活発な政策論議に携わり続けている。

◎行政管理予算局長 ニーラ・タンデン氏
進歩主義派のシンクタンク「アメリカ進歩センター」の所長。オバマ前大統領による医療保険制度改革法(オバマケア)の策定を助けた。

◎大統領経済諮問委員会(CEA)委員長 セシリア・ラウズ氏
プリンストン大学公共政策・国際関係大学院の院長で、労働経済学を専攻するエコノミスト。研究の中心は教育と格差解消に関する経済学。オバマ前政権下の2009年から11年にかけてCEAのメンバーだった。

◎国務長官 アントニー・ブリンケン氏
バイデン氏にとって長年の側近であり、オバマ政権で国務副長官と国家安全保障問題の大統領副補佐官を務めた。

◎国家安全保障担当大統領補佐官 ジェイク・サリバン氏
バイデン氏が副大統領だった当時、国家安全保障問題の補佐官として仕えたほか、ヒラリー・クリントン元国務長官の次席補佐官も務めた。

◎国土安全保障長官 アレハンドロ・マヨルカス氏
キューバ生まれの弁護士。承認されれば、中南米系、移民出身者として初の国土安全保障長官となる。オバマ政権で米市民権・移民業務局(USCIS)局長を務め、幼少期に米国に連れてこられて不法移民になった「ドリーマー」の在留を認める措置「DACA」の導入を主導した。DACAに共和党は批判的で、マヨルカス氏が指名された場合、拒否権を有する上院で同党が反対してもおかしくない。

◎国家情報長官 アブリル・ヘインズ氏
オバマ政権で国家安全保障担当大統領副補佐官を務め、女性初の中央情報局(CIA)副長官でもあった。2017年にオバマ政権を去ってからは、コロンビア大で複数のポストに就いた。

◎国連大使 リンダ・トーマスグリーンフィールド氏
バイデン氏は国連大使のポストを見直し、閣僚レベルに引き上げる計画。黒人女性のトーマスグリーンフィールド氏は2013―17年にオバマ政権でアフリカ外交トップを務め、アフリカ西部でエボラ出血熱の感染爆発が起こった際、サハラ以南のアフリカに関する米国の政策を主導した。

◎気候変動問題を担当する大統領特使 ジョン・ケリー氏
元上院議員で元国務長官。バイデン氏が復帰を望む地球温暖化対策の国際的取り組み「パリ協定」の交渉に助力した。

◎国防長官 ミシェル・フロノイ氏
最有力候補との見方で衆目が一致しており、就任すれば初の女性国防長官となる。クリントン、オバマ両政権で国防総省の高官を務め、バイデン氏の選挙陣営に国防問題について助言。ブリンケン氏とコンサルティング会社を共同設立した。

◎環境保護長官 ヘザー・マクティア・トニー氏
オバマ政権時の環境保護庁(EPA)地方監督官。大気汚染対策を訴える活動家で、進歩主義派の支持を得ている。

◎司法長官サリー・イエーツ氏
元司法副長官。トランプ政権初期に司法長官代行を短期間務めたが、イスラム圏7カ国からの入国を制限する大統領令に反発して解任された。

◎エネルギー長官
エリザベス・シャーウッドランドール氏: バイデン氏が上院議員だった当時の顧問。オバマ政権でエネルギー副長官を務め、送電網へのサイバー攻撃や物理的な攻撃への対策を主導した。現在はジョージア工科大学の教授。

◎中央情報局(CIA)長官 マイケル・モレル氏
オバマ政権下でCIA副長官や長官代行を務めた。現在はワシントンのコンサルティング会社所属。

◎保健福祉長官 ビベック・マーシー氏
医師で元医務総監。ここ数カ月、新型コロナウイルス感染拡大への対処に関するバイデン氏の諮問委員会の共同座長を務め、注目を集めた。

◎首席補佐官 ロン・クレイン氏
バイデン氏の長年の側近で、エボラ出血熱の大流行に対応した経験を持つ。

ジェイ・ジョンソン氏: オバマ政権の国土安全保障長官として最も良く知られているが、同政権の初期に国防総省の法務顧問、クリントン政権下では空軍の法務顧問も務めた。弁護士としての職歴を持つため、司法長官への指名も検討されている。

ロイド・オースティン氏: 退役した大将で、オバマ政権下で米中央軍の司令官として中東の米軍を統括した。長官に就任すれば、国防総省の文民ポストに退役大将がまた1人増えることになる。

タミー・ダックワース氏: イリノイ州選出の上院議員。バイデン氏が副大統領候補に選ぶ可能性もあると考えられていた。2004年にイラク戦争従軍中、乗っていたヘリコプターが襲撃され両脚を失った。オバマ政権時に退役軍人省次官補を務めた。国防長官に就任すれば、初のタイ系米国人閣僚となる。

ダグ・ジョーンズ氏: 元連邦検察官で、公民権問題で大きな実績を持つ。2017年の上院補欠選挙で保守党の牙城であるアラバマ州で勝利。しかし、今年は共和党のトミー・タバービル氏に敗れた。

アルン・マジュムダール氏
先進的なエネルギー技術の調査・開発を促進するエネルギー省の機関で初代ディレクターを務めた。2011年3月から12年6月にはエネルギー省次官代行だった。

ジェイ・インスリー氏
昨年、気候変動対策を掲げて大統領選の民主党予備選を目指したが撤退。しかし、今年のワシントン州知事選で勝ち、3期続投を果たした。

メアリ・ニコルス氏
クリントン政権時のEPA監督官補。カリフォルニア州の大気汚染を監督する機関の座長を務める。

コリン・オマラ氏
米国立野生生物連盟の最高責任者で、エネルギー・環境問題に関してバイデン氏の顧問を務めた。

トム・ドニロン氏
元外交官で、オバマ政権で国家安全保障担当の大統領補佐官を務めた。

マンディー・コーエン氏
医師で、ノースカロライナ州保健福祉局の長官を務める。

デービッド・ケスラー氏
米食品医薬品局(FDA)の元委員。バイデン氏の新型コロナ諮問委員会の共同座長。