【ワシントン=海谷道隆】米大統領選は8日、各州が選挙人をめぐる争いを解決すべき期限を迎え、トランプ大統領が選挙結果を覆せる余地はほぼ消失した。各州で認定された選挙人は14日に投票する。異例の展開が続く大統領選は、バイデン次期大統領の勝利が正式に確定する最終決着に向けて着実に進んでいる。

 連邦最高裁は8日、共和党議員らがペンシルベニア州の選挙結果の認定差し止めを求めた訴えを退けた。最高裁の判事団は保守派優位となっている。法廷闘争を続けてきたトランプ氏陣営は有利な結果が出る可能性があると期待をかけていただけに、大きな痛手だ。

 連邦法は、各州の選挙人による14日の投票日の6日前を、各州が異議申し立てなどによる争いを収めるべき期限と定めている。期限内に争いが決着し、州当局が認定した結果は「最終的」とみなされ、裁判所や議会の介入で覆る可能性は極めて低くなる。選挙人の投票結果は来年1月6日に連邦議会で集計され、全米538人の選挙人のうち、270人以上を獲得した候補者が正式に当選となる。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、8日時点で、全50州と首都ワシントンのすべてで一般投票の結果の認定が完了した。獲得選挙人はバイデン氏が306人、トランプ氏が232人だ。

 それでも、投開票で不正があったと主張するトランプ氏は8日、ホワイトハウスで記者団に「選挙の腐敗ぶりを見てみろ。こんな形での勝利は許されない」と、徹底抗戦を続ける意向を示した。陣営は声明で「我々は選挙の正当性を守る戦いを続ける」と強調した。