[ワシントン 23日 ロイター] – トランプ米大統領が2021年度予算案と一体化している新型コロナウイルス追加経済対策法案の署名を拒否する可能性を示したことで、つなぎ予算の期限が切れる28日までに対応が取られなければ、政府機関は来週にも一部閉鎖に追い込まれる恐れがある。

トランプ大統領は22日にソーシャルメディアに投稿した動画で、議会が可決した8920億ドルの新型ウイルス追加経済対策について、国民への現金給付金の引き上げや無駄な支出の排除などの修正を求め、現行のままでは署名しないと表明。法案が1人当たり600ドルとしている現金給付金は「ばかばかしいほど低い」とし、2000ドルへの引き上げを求めた。

関係筋によると、側近らは先週にトランプ氏が2000ドルの現金給付を持ち出さないよう説得できたと考えており、与野党協議に参加したムニューシン財務長官もトランプ氏の表明に驚いたという。

別の情報筋によると、トランプ氏は上院共和党トップのマコネル院内総務が先週、大統領選でのバイデン氏勝利を認めたことに怒りを示していたという。

トランプ氏は拒否権行使を明言せず、議会が法案を修正することに期待を示した。与野党が合意をまとめた20日、ホワイトハウスはトランプ氏が署名すると表明していた。

トランプ氏は23日午後、クリスマス休暇を過ごすフロリダ州に向けて出発する。議会は年末の休会に入り、トランプ氏が署名しなければ、10日後には自動的に拒否権が発動されることになる。

政府機関の一部閉鎖を回避するには、現行のつなぎ予算の期限が切れる28日までに再びつなぎ予算を可決するか、トランプ大統領が拒否権を発動した場合に議会がそれを覆す必要がある。

民主党の一角は支援策の規模が小さいと考えていたことから、トランプ大統領の動きを歓迎する反応も見られた。

民主党のペロシ下院議長は、共和党のマッカーシー下院院内総務が合意すれば、下院は現金給付金の引き上げを巡る採決を行えると表明。「トランプ大統領は法案に署名し、政府機関の閉鎖を回避すべきだ!そして民主党が一致して要求している1人当たり2000ドルの現金給付金に応じるよう、マコネル、マッカーシー両氏を説得すべきだ!クリスマスイブの正午までに実現できる!」とツイッターに投稿した。

マコネル、マッカーシー両氏からコメントは得られていない。

トゥーミー上院議員(共和党)はFOXニュースに対し「法制化しよう。その後、追加の現金給付金を巡り協議を継続することは可能だ」と語り、トランプ大統領の署名を促した。

トランプ氏の任期は来年1月20日まで。2年前にメキシコとの国境沿いの壁建設を巡り連邦予算案の署名を拒否し、35日間にわたり連邦政府機関が一時閉鎖された。