米下院共和党は、新型コロナウイルス禍に対応するための個人への直接給付額を2000ドル(約20万7000円)に引き上げる民主党の試みを阻止した。2000ドルへの引き上げはトランプ大統領も要求していた。

  ホイヤー民主党下院院内総務は24日、追加経済対策法案に盛り込まれた600ドルの直接給付額を2000ドルに引き上げる案の可決を目指したが、共和党が反対した。可決には全会一致が必要だった。

  ペロシ下院議長は、上下両院で民主党は米国民のために個人給付の増額に向けて繰り返し取り組んできているが、共和党が拒否し続けていると批判した。

  民主党は28日、ニール下院歳入委員長が提出した給付額引き上げのための新しい法案採決を下院で実施する方針だ。同日には、議会を通過した国防権限法案に対するトランプ大統領の拒否権行使を覆すための採決も行われる。

トランプ氏、国防権限法案に拒否権行使-来週覆すと下院議長

  個人給付をめぐる対立は、与野党が数カ月に及ぶ激しい交渉の末、ようやく9000億ドル規模の追加経済対策法案と1兆4000億ドル規模の歳出法案との包括案可決にこぎつけた後に起きた。包括案が議会を通過した翌日の22日、トランプ大統領が給付額引き上げを求め、民主党もこれに同意する一方、共和党は不意を突かれた。同案はここにきてあらためて宙に浮いた形だ。

  トランプ大統領は法案に拒否権を行使するとは明言していない。ホワイトハウスには複数回コメントを求めたが、返答は得られていない。事情に詳しい関係者によると、法案はトランプ氏がクリスマスを過ごすフロリダ州の別荘「マールアラーゴ」に送られる。

  現行の暫定予算が切れる28日深夜までにトランプ氏が法案に署名しない場合、連邦政府機関は29日から一部閉鎖に追い込まれかねない。トランプ氏の動きがなければ、下院は28日に新たな暫定予算案を通過させようとするかもしれない。

  ホイヤー氏は24日、議会議事堂で記者団に対し、「議会共和党とホワイトハウスは自分たちが何を望むのかで一致できずにいる」とした上で、「米国の大統領であるなら、マールアラーゴにいようがどこにいようが、このクリスマスイブに人々が感じている苦しみ、不安、深い悩みに共感を示すべきだ」と述べた。

原題:Pelosi Sets New Vote as GOP Foils Move on Trump’s $2,000 ChecksGOP Blocks Democrats’ Move for $2,000 Payments Trump Demanded(抜粋)