[東京/デトロイト 8日 ロイター] – 半導体不足でホンダや日産自動車といった自動車メーカーに、減産の動きが出てきた。新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務が普及し、パソコン需要が拡大、さらに第5世代(5G)通信網向けスマートフォンや基地局の整備が進み、自動車向けの半導体が不足してきていることが背景にある。

ホンダの広報担当者は「部品調達に影響が出始めており、生産振替や台数調整などで影響のミニマム化に取り組んでいる」と説明、車種ごとの調整台数の見通しは「精査中」としている。日本経済新聞は、不足しているのは車両制御システムなどに用いる半導体で、鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)で手がける小型車「フィット」を中心に1月に4000台程度を減産すると報じた。

日産自動車は半導体不足の影響で、追浜工場(神奈川県横須賀市)で生産する小型車「ノート」を減産する。台数などは明らかにしていない。日経新聞は、1月は5000台規模で減らす方向と報じている。

トヨタ自動車は、米テキサス州のサンアントニオ工場でピックアップトラック「タンドラ」の生産を縮小する方針だが、広報担当は詳細は明かさなかった。

米フォードはルイジアナ州とケンタッキー州の組立工場を停止すると発表。フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は「ジープ」を生産するメキシコ工場や「クライスラー」などを生産するカナダ工場を停止するという。

自動車業界では、昨年10月に旭化成の宮崎県の半導体工場で火災が発生したことによる供給影響も懸念されている。こちらについてホンダは「2月分まで確保しており、それ以降の分は代替調達などを含め精査している状況」としている。

世界的な半導体不足を受け、自動車業界では独フォルクスワーゲン(VW)が中国や欧米での生産調整に動くなど影響が出始めていた。半導体メーカーが、コロナ禍で一時的に生産が影響を受けた自動車向けから家電向けなどへと、生産をシフトした影響だとフォルクスワーゲンはみている。