今日こそはテーマを変えようと決意しているのに、朝起きてから性懲りもなくアメリカ情勢に引き摺り込まれている。ツイッターなどで事実関係はなんとなく承知していたが、NHKのニュースをみて改めて「アマゾンお前もか」という怒りが沸々と沸いてきた。まずはNHKの記事。「アメリカの連邦議会にトランプ大統領の支持者らが乱入した事件を受けて、IT大手のアマゾンは国内の保守派の間で利用が広がっているソーシャルメディアの『パーラー』に提供してきたサービスを停止しました。パーラーは利用ができなくなっていて、運営会社は措置の差し止めを求めて提訴しました」。ツイッターやフェイスブックを利用できなくなったトランプ派は、振興SNSのパーラーに大挙して移動したのだが、そのパーラーにサーバーを提供していたアマゾンが、サービスそのものを停止したのである。

停止の理由は言わずと知れた「暴力を助長する可能性がある」との決まり文句。私はこのアプリを利用したことはないが、パーラーは投稿に対する規制が緩やかで保守派の間で利用者が増えていた。保守であろうがリベラルであろうが、右派も左派もアマゾンにとってユーザーだと思うのだが、ここではなぜかトランプ派の排除が平然と行われている。GAFAに代表される米I T企業の売上高はトータルで8兆ドルを超えている。日本の国家予算を大きく上回る規模だ。民間企業でありなが国家権力に匹敵するようなパワーを持っている。おまけにこれらの企業はそれぞれが専門分野に特化しており、巨大でありながら協調できる体制になっている。その巨大企業がツイッターと協調してトランプならびにトランプ派の排除に乗り出しているのである。

保守とかリベラルではなく「表現の自由」という観点で眺めれば、いまアメリカで起こっていることは、恐ろしく、かつ、極めて異常なことである。トランプ大統領を異常と言うなら、メディアもそれに輪をかけて異常だ。大統領選挙で7500万票を獲得しているトランプ氏ならびに同氏の支持者は、「暴力を誘発する可能性がある」という解釈で言論弾圧の対象になっているのである。トランプ派は中国に対する抗議デモをしただけで「国家転覆の罪」に問われた香港の民主派と重なる。GAFAは中国の統治原理をそのまま自社のサービス停止に当てはめているようだ。世界中のメディアが言論弾圧に手を貸す中で、ドイツのメルケル首相は11日、トランプ米大統領のアカウントを永久凍結したツイッター社の決定について、「意見表明の自由を制限する行為は『法に基づくべきだ』と述べ、同社の対応を批判した。意見表明の自由を守ることは絶対的に重要だと強調した」(産経新聞)。さすが世界の指導者だ、メルケル首相の発言に激しく「同感」。