【ワシントン時事】米上院は22日、バイデン新大統領が国防長官に指名したオースティン元中央軍司令官(67)の人事案を賛成多数で承認した。国防長官に黒人が就任するのは初めて。トランプ前政権下でもつれた政治と軍の関係を立て直しつつ、中国の急速な軍事力拡大やアフガニスタンからの米軍撤収などの課題に「待ったなし」の対応を迫られる。

 連邦法は文民統制の原則に基づき、退役から7年未満の元軍人が国防長官に就任することを禁じている。2016年に陸軍から退役したオースティン氏はこの規定に抵触するため、上下両院は21日に規定適用を免除する法案を可決していた。

 オースティン氏は先立って開かれた上院軍事委員会の公聴会で「文民統制の原則を支持する」と述べ、国防総省幹部を文民で固めると強調。バイデン大統領も昨年12月、「オースティン氏は試練を経た真の兵士であり、リーダーだ」と称賛し、例外として認めるよう議会と国民に理解を求めていた。

 オースティン氏は41年間の陸軍在籍中、イラクやアフガンでの戦争に従軍した。10年にはイラク駐留軍司令官として同国からの米軍撤収を指揮。13年に黒人として初めて中東全域を管轄する中央軍司令官に就任し、シリアとイラクで過激派組織「イスラム国」(IS)との戦闘を主導した。