女性蔑視とも取れる発言を巡り、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は4日、発言を撤回した上で謝罪した。辞任は否定した。ソーシャルネットワークサービス(SNS)を中心に森会長の発言を批判する声が相次いでいた。

  森会長は会見で「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現だったと認識している。深く反省している」と述べ、発言を撤回。辞任を求める声に対しては「自分からどうしようという気持ちはない。皆さんから邪魔だと言われれば、掃いてもらえればいいんじゃないですか」と語った。

  森会長は3日夜、都内で開かれた日本オリンピック委員会(JOC)の評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言。「女性は競争意識が強い。誰か一人が手を挙げると自分も言わないといけないと思うのか。それでみんな発言する」と述べた。評議員らからは笑い声が上がった。

Olympics Logos as Japan Minister Says Tokyo Games Postponement 'Inconceivable'
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  評議会は報道機関もオンラインで視聴しており、森会長は「あまり言うと新聞に漏れると大変。また悪口を言ったと言われる」と述べた。また、発言者を明らかにせずに「女性を増やしていく場合は発言の時間をある程度、規制をしておかないとなかなか終わらないので困ると言っておられた」とも話した。

  菅義偉首相は4日の衆院予算委員会で、「あってはならない発言だ」と指摘。それに先立つ答弁では「スポーツ分野においても女性の社会参画は極めて大事だ」と語った。

「黙りなさい」

  森会長の発言に対し、欧州議会安全保障・防衛小委員会のナタリー・ロワゾー委員長は「女性だって簡潔に話す方法を知っている。例えば、あなたのコメントに答えるには2つの単語で十分です。Shut up(黙りなさい)」とツイート。

  社民党の福島瑞穂党首は「コロナ禍で大変で、オリンピックをやれるかどうか本当に大問題なときに、こんな女性差別発言しかできないなんてとんでもない。こんな意識でオリンピックをやることそのものが問題」とツイッターでコメントした。

  JOCはガバナンス体制の構築に取り組んでおり、3日は資質や性別などに応じて弾力的な選考を行うための役員体制の見直しについて議論していた。スポーツ庁がまとめた競技団体の運営指針に従い、JOCも理事の女性比率を40%以上に引き上げることを目標としている。