[ロンドン 19日 ロイター] – 世界の株式市場が年初から大幅上昇し、専門家からバブルを懸念する声が上がっている。2月19日、

各国がコロナ禍に対応して未曽有の金融・財政政策を実施したことにより、世界中に資金があふれている。米バンク・オブ・アメリカは、世界の主要中央銀行が1時間ごとに計11億ドル相当の金融資産をのみ込んでおり、米株式市場には「根拠なき熱狂」が見られると指摘した。

ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)や主要投資銀行のストラテジストらは1月以来、株価が短期的に急変動する可能性があると警鐘を鳴らしている。

約20年前のドットコム・バブル崩壊前と同様、株価が天井に近いことを示す伝統的な指標のほとんどが点滅している。

バブルに関する指標を以下にいくつか示した。

(1)PER

1年後の利益予想に基づく米S&P500種総合株価指数の株価収益率(PER)は22倍と、長期平均の16倍を優に上回り、1990年代の終わりごろの水準並みになっている。他の主要株価指数でもPERは長期平均を超えているが、S&Pの極端な水準には遠く及ばない。

(2)プット・コール・レシオ

オプション市場でも市場の熱狂ぶりは顕著だ。シカゴ・オプション取引所(CBOE)のプット・コール・レシオは8カ月にわたり、ドットコム・バブル崩壊直前以来の低水準で推移している。

(3)ERP

債券利回りが超低水準に下がったことにより、債券と株式をてんびんにかける投資家にとって株式の魅力が増している。このことは、株式リスクプレミアム(ERP)が過去平均に比べて依然として大きいことに表れている。

ロベコのポートフォリオ・マネジャー、ジェロエン・ブロクランド氏は、金利が低いため「リスク資産を、いわば買わざるを得ない状態だ」と話し、バブルではないとの見方を示した。

(4)バブリーな巨大IT株

世界的な景気回復を見込む「リフレトレード」により、昨年打ちのめされた小型株がここにきて上昇している。しかし、IT株人気も健在だ。この結果、ITセクターへの資金集中リスクが生じている。同セクターは現在、世界の株式時価総額の5分の1を占め、この割合は1990年代末のドットコム・バブル期以来の高水準となっている。

(5)M2が拡大

中央銀行が金融市場に供給する流動性の量も、バブルの指標となる。米国の通貨供給量M2は昨年急拡大し、暗号資産(仮想通貨)ビットコインからIT株に至るまで、さまざまな市場へとバブルを広げている。