変異した新型コロナウイルスが、昨年12月上旬に国内で採取された下水から検出されたと、北海道大と東京大などの研究チームが明らかにした。英国型の変異ウイルスが国内で初めて確認された同月25日以前に、すでに一定程度広がっていた可能性があるという。

 英国型や南アフリカ型の変異ウイルスは、表面の突起先端部の遺伝子が変化し、感染力が高まったと懸念されている。

 チームが昨年12月4日に採取された下水試料を調べると、英国型と南ア型に共通する遺伝子の変異が検出できた。今年1月7日の下水からも変異ウイルスが確認され、ウイルス量が増えた可能性が高いという。昨年11月19日の試料からは検出できなかった。下水の採取場所は公表していない。

 国立感染症研究所によると、英国型と南ア型は昨夏以降相次ぎ現れ、世界的に流行し始めた。日本政府は同12月下旬に両国からの新規入国を拒否した。チームの北島正章・北海道大助教(環境ウイルス学)は「下水の調査で変異ウイルスの感染状況を早期に把握できる可能性がある」と話す。