[ワシントン 17日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は16─17日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きと国債などを買い入れる量的緩和の継続を全会一致で決定し、景気支援に向けあらゆる手段を行使する姿勢を改めて表明した。同時に、新型コロナウイルス感染拡大が収束に向かうに従い、今年の米経済成長率とインフレは大きく上昇するとの見方を示した。

FRBは最新の金利・経済見通しで、今年の経済成長率は6.5%に達すると予想。失業率は年末までに4.5%に低下するとの見通しを示した。昨年12月公表の前回見通しでは成長率が4.2%、失業率は5%との見方が示されていた。上方修正後の成長率は1984年以来の大きさとなる。

インフレ率は年末までに2.4%と、FRBが目標とする2%を上回ると予想。その後は低下するとの見方を示した。

FRBは声明で、「この厳しい局面で米経済を支援するためにあらゆる手段を行使し、雇用最大化と物価安定という目標を促進することに全力で取り組む」と表明。「新型コロナウイルスのパンデミックは、米国および世界中で多大な人的および経済的苦難をもたらしている」とし、「回復ペースが鈍化した後、経済活動と雇用の指標は最近上向いた」との認識を示したものの、「このパンデミックによって最も悪影響を受けた業種は脆弱なままだ」とした。

景気見通しの改善は政策担当者の金利見通しの変更に直接はつながらなかったものの、見通しの重心は若干変化した。今回は当局者18人のうち7人が23年の利上げを予想。前回12月にこうした見方を示したのは5人だった。また、当局者4人が来年にも利上げが必要になるとの見方を示した。

パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、連邦政府とFRBの積極的な支援策により、パンデミックに起因する経済に対する最悪の影響は回避されたとの認識を示した。

ただ、米国ではパンデミックで950万人の雇用がなお失われたままになっているほか、インフレ率もFRBの目標を下回っているとし、見通しが明るくなったもののFRBは景気支援策を解消しないと強調。「FOMCメンバーの大半は見通しの期間内に利上げはないとの見方を示している」と述べた。見通しの期間内とは21─23年を示す。

FRBは四半期ごとに金利・経済見通しを発表。今回のものは新型コロナウイルスワクチン接種開始と政府の大規模な景気対策の影響などが織り込まれている。

JPモルガンのチーフ米国エコノミスト、マイケル・フェロリ氏は「政策金利が長期にわたり現行水準に維持される中、テーパリング(量的緩和縮小)が金融政策運営の次の重要な局面になる」と述べた。

米10年債利回りはFOMC前に1.689%と、20年1月以来の水準に上昇していたが、FOMC声明の発表を受け、1.640%に戻した。

パウエル議長は記者会見で金融機関の自己資本規制の一つである補完的レバレッジ比率(SLR)の除外措置について、近く新たな情報を発表すると明らかにした。FRBは新型コロナ対策の一環としてSLR規制を一時的に緩和したが、同措置は今月31日に期限が切れる。