【北京時事】18、19の両日行われた米中外交トップ会談で、中国側はトランプ前政権下で途切れた米中対話の継続に期待をつないだ。初日の会談では強硬姿勢が目立ったが、地球温暖化などの問題では協力的態度を示す硬軟両様の駆け引きを展開。中国は今後の対話を通じ、米国への協力を誘い水に譲歩を迫る構えだが、バイデン政権が乗るかどうかは見通せない。

 中国外務省の発表によると、2日間の会談で米中は「対話と意思疎通の維持、互いに利益となる協力の推進」を通じ、両国関係を健全で安定的に発展させることで合意した。気候変動、イラン、アフガニスタン、朝鮮半島、ミャンマーなど個別の問題で協調を強化すると説明している。

 バイデン大統領は2月の外交演説で「米国の国益にかなうなら中国と協力する用意がある」と表明した。中国は好機と捉え、米国に協力可能な分野を提示しながら見返りも求めていた。

 王毅外相は2月のオンライン・フォーラムで、新型コロナウイルス、気候変動、世界経済回復の3分野での米中協力を提唱し秋波を送った。併せてトランプ前政権から継承された対中追加関税や独自制裁、ハイテク企業への輸出規制などの撤回が「両国協力に必要な条件だ」とくぎを刺した。

 今回の会談でも中国側は「前政権の誤った対中政策の影響を取り除くよう促す」として、香港やチベット自治区に絡む対中制裁の解除などを要求した。楊潔※(※竹カンムリに褫のつくり)共産党政治局員は19日、会談後の記者会見で「米中双方には依然、重要な相違点がある。中国は国家主権や安全、発展の利益を断固守る」と強調した。

 一方、中国外務省の発表には「双方はこの種のハイレベル戦略コミュニケーションの継続を希望する」という一文が盛られた。中国は今回の会談を「ハイレベル戦略対話」と呼んで継続的な対話メカニズムにしたい思惑をにじませたが、米側は否定した。今後の対話継続にも不確実性が残る。