【モスクワ時事】ロシア軍がウクライナ国境付近で部隊増強の動きを見せ、緊張が高まっている。親ロシア派武装勢力が一部を実効支配するウクライナ東部に隣接する地帯や、ロシアが併合したクリミア半島に集結しているとみられる。ロシアとしては、ウクライナ支援の方針を打ち出すバイデン米政権を強くけん制する意図がありそうだ。

 ウクライナ軍のホムチャク総司令官は3月30日の議会報告で「(ロシアは)国境沿いやクリミアに28の大隊を駐留させている」と述べ、さらに25の大隊が展開する可能性があると説明。2日のタス通信によると、ウクライナ国境地帯を管轄するロシア南部軍管区は、約1万5000人から成る50を超える大隊がドローン(無人機)攻撃などを想定した演習を行うと発表し、部隊集結を認めた。

 ロシアが対決姿勢を強める背景には、バイデン米政権に対する反発がある。バイデン大統領は2月の声明で、2014年のロシアのクリミア併合を「米国は認めていないし、今後も決して認めることはない」と強調。「ウクライナと共にロシアの侵略行為に立ち向かう」と表明した。

 後ろ盾を得たウクライナのゼレンスキー大統領もクリミア奪還の方針を打ち出すなど強気の姿勢を見せている。米ウクライナ両首脳は2日、電話会談を行い、結束を確認した。

 こうした状況を受け、ウクライナ東部での政府軍と親ロ派の紛争激化に懸念が高まっている。昨年7月に停戦入りしたが、最近は停戦違反が常態化し、ウクライナ側の死者は今年に入り20人に達した。親ロ派地域には現在、2000人を超えるロシアの軍事顧問らが入っていると推計する情報もある。

 ロシアのペスコフ大統領報道官は2日、ウクライナ支援のために米国が軍を派遣したり、北大西洋条約機構(NATO)が兵力を増強したりすれば「間違いなくロシア国境付近の緊張を高めることになる」と主張。「安全保障のためにロシアは措置を取らざるを得なくなる」と警告した。