ゴールドマン・サックス・グループは約半年前に始めたドル安を見込む取引をやめ、顧客への助言も撤回した。
同社の為替チームは「戦術的退却」と題したリポートで、オーストラリア・ドルやニュージーランド・ドルを含むG10資源通貨のバスケットに対し勧めてきたドルのショート(売り持ち)ポジション構築を解消した。米国債利回りの上昇でドルが買われ、ヘッジファンドやその他の投資家もドル安見込みを撤回している。
ザック・パンドル氏らゴールドマンのストラテジストらは2日のリポートで、「向こう数四半期にこれらの通貨がドルに対して上昇するとの見通しは依然あるが、短期的にドルは米国の堅調な成長と債券利回りの上昇に支えられ続けるだろう」との見方を示し、「荒い値動きの数カ月後、当社は勧めてきたドルショート取引を終了する」としている。
米経済データ改善と10年物米国債利回りの80ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇でドルの妙味が増し、ブルームバーグ・ドル・スポット指数は今年これまでに3%近く上昇した。
ゴールドマンのストラテジストらは昨年10月9日に、先進国通貨と新興国通貨の2つのバスケットに対するドルショートを勧めたが、それ以降のドル指数は約1%下落。
この取引は開始以降なら差し引き5%の利益を上げたはずだが、年初来では「ほぼ横ばいだった」とストラテジストらは説明した。
それでも、欧州の新型コロナウイルス感染拡大状況に改善が見られるにつれ、ドルを売る機会は再び生じるともゴールドマンは指摘。ユーロはドルに対して向こう3カ月に約3%上昇して1.21ドル台に達し、1年以内には1.28ドルを試すとみている。5日は1ユーロ=1.1750ドル前後での取引。
原題:Goldman Axes Short Dollar Call as Higher U.S. Yields Spoils Bet(抜粋)