米銀の決算発表が始まり、ゴールドマン・サックス・グループとJPモルガン・チェースがともに四半期として過去最高益を計上しました。しかし発表後にゴールドマンの株価が一時5.1%高と大きく上昇したのに対し、JPモルガンは同2.1%安と明暗が分かれる形に。JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が、ローン需要は「引き続き厳しい」と述べたことが嫌気されたようです。今回の増益に寄与した貸倒引当金の戻し入れが1回限りのものであることについても、冷静な見方があります。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

2桁の伸び

ゴールドマンの1-3月(第1四半期)は、トレーディングと投資銀行業務がいずれも好調で、収入と利益がともに過去最高となった。トレーディング収入は47%増の75億8000万ドル(約8260億円)と2010年以来の高水準。株式部門が主導した。投資銀行業務の手数料収入も73%増えた。JPモルガンの1-3月は投資銀行業務の収入増が寄与し、四半期として過去最高益。投資銀行手数料は前年同期比で57%増え、市場予想を上回った。だが、ローン需要は引き続き弱いことを明らかにした。

初値から14%安

暗号資産(仮想通貨)交換業者コインベース・グローバルが、米ナスダック市場に上場した。時価総額は一時1120億ドル(約12兆2000億円)を超えたが、その後はビットコイン価格の下落やテクノロジー銘柄への幅広い売りを受け、初値を下回る水準で取引された。ナスダックは前日、直接上場を控えたコインベースの参考価格を1株250ドルに設定。初値は381ドルで、株価は一時429.54ドルまで上昇した。終値は初値から14%安となる328.28ドル。ビットコインは過去最高値を更新後、6万2000ドルを下回る水準に下落。ビットコインはイーサリアムと並び、同社の2020年の取引収入の56%を占めていた。

「加速する時期」

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、米経済は拡大ペースが加速する時期に入りつつあるとの認識を示した。バーチャル形式のイベントで「経済成長と雇用創出のペースが加速する時期に入りつつあり、喜ばしい」と発言。その上で、「主なリスクは新型コロナウイルスの感染が再び急増することだろう。変異株の一つは治療がより難しい可能性がある」と指摘。「まだしばらくの間」マスクの着用とソーシャルディスタンス(社会的距離の確保)を続けるのが賢明だろうと語った。

ペース上向き

FRBが公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によれば、経済活動はペースが上向き、消費も改善した。ベージュブックは「全国的な経済活動は、2月遅くから4月初めに緩やかなペースに加速した」と指摘。「消費は力強さを増した。観光業に関する報告はより前向きな内容となった。レジャー活動や旅行に対する需要の上向きに支えられた」と記した。

EU加盟国で初

デンマークは英アストラゼネカの新型コロナワクチンの使用を中止すると発表した。同ワクチンを巡っては接種後に血栓が生じる副反応が懸念されている。ワクチン接種プログラムからアストラ製ワクチンの除外を決めたのは欧州連合(EU)加盟国で同国が初めて。デンマークは血栓の副反応が報告されてから同ワクチンの使用を最初に中断した国の一つで、3月11日から投与していない。ノルウェーでも先月からアストラ製ワクチンを投与しておらず、15日に決定を発表する予定だ。

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