欧州連合(EU)は、新型コロナウイルス不況からの復興を支えるための資金調達計画を公表した。5年間で8060億ユーロ(約105兆円)相当の債券を発行する。

  EUの行政執行機関である欧州委員会の発表によると、EUは復興プログラム「ネクストジェネレーションEU(NGEU)」の下で6月に最初の債券を発行する。プライマリーバンクディーラーのネットワークを介した最新のプラットフォームによる債券と短期証券の販売は9月までに開始する予定。8060億ユーロのほぼ3分の1がグリーンボンド(環境債)になり、その規則の枠組みは夏の初めに公表する。

  欧州委は14日、「2026年末までの期間に年間最大1500億-2000億ユーロを調達する必要がある」とし、「21年6月までに資金を集め始める準備ができる予定だ」と説明した。

  EUとして債券市場に本格的に参入するのは初めてだが、将来的に安全資産として米国債に並ぶ市場を築くための土台になる。共通債の発行はEUの統合を進展させ、ユーロの地位向上にも寄与する。

  欧州委によれば、発行するのは期間3-30年の債券とより短期の証券で、定期的に販売していく。少なくとも当初は短期証券が迅速な資金調達手段として重要になる見込み。調達総額は昨年示された当初計画を560億ユーロ上回る。

  EUは昨年、「緊急時失業リスク緩和支援(SURE)」プログラムの財源となるソーシャルボンド(社会貢献債)の発行を開始。堅調な需要を集めている。今後はシンジケート団方式に加え、入札による発行を開始する。

  NGEUの復興パッケージは加盟国への補助金と融資で構成される。

原題:EU Lays Out $1 Trillion Debt Plan to Challenge Treasuries (2)(抜粋)