ことし1年間に世界で排出される二酸化炭素の量は新型コロナウイルスの影響で低迷した経済が回復するのにともない石炭の消費などが増え、前の年に比べ5%近くと大幅な増加になるという見通しをIEA=国際エネルギー機関がまとめました。

IEAは20日、石炭や石油などの消費で排出される世界全体の二酸化炭素の量の推計を発表しました。

それによりますと去年1年間の二酸化炭素の排出量は、新型コロナウイルスの影響で経済が低迷したため前の年に比べて5.8%減り、過去最大の減少幅となりました。

そのうえでことしは、経済の回復にともない中国やインドなどアジアを中心に石炭火力の発電が増加することなどから二酸化炭素の排出量は前の年に比べ4.8%増えるという見通しを示しました。

実際に見通しどおりの増加となれば、金融危機のあとの経済の回復で排出量が大幅に増えた2010年に次ぐ、過去2番目の増加幅だとしています。

IEAのビロル事務局長は「新型コロナウイルスの危機からの経済回復が気候にとっては持続可能ではないという強い警告だ」と述べ、各国政府に対し二酸化炭素の排出削減を急ぐよう呼びかけています。