学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、国は6日、自死した同省近畿財務局職員赤木俊夫さん(当時54)が改ざんの経緯を記したとされる「赤木ファイル」の存在を認めた。赤木さんの妻・雅子さん(50)が国などに損害賠償を求め、大阪地裁に起こした訴訟の裁判手続きの中で国側が文書で回答し、一部をマスキング処理(黒塗り)し、6月23日には任意提出する見通しも示した。
原告側代理人が明らかにした、国側の回答文書は5ページ。国は、原告側が求めた文書が特定できたとして、裁判所からの文書提出命令を待たず、俊夫さんが改ざんの経緯を時系列にまとめた文書や、財務省理財局と近畿財務局の間でやりとりしたメールの記録などを任意で提出するとしている。
ただ、「メールに記載されたパスワードや、裁判に関連しない第三者の個人情報などが含まれている」として、一部を黒塗りする必要があると説明。次回の口頭弁論期日(6月23日)には文書を任意提出するとした。
国はこれまで、ファイルの存否について一切明らかにしてこなかった。訴訟で国は、財務省の組織的な改ざんについて争いがないことから「ファイルは裁判に関係せず、存否について答える必要がない」と回答。一方、国会では「訴訟に影響する」として、野党側の開示要求に対し、存否についての答弁を避けてきた。
国が今回、ファイルの存在を初めて認めたことで、今後開示されれば、改ざんに至った詳しい経緯や指示の具体的な内容が明らかになる可能性がある。今月12日には大阪地裁で非公開の裁判手続きが予定されており、ファイルの開示方法などについて国側と原告側、裁判所で協議されるとみられる。雅子さんは6日午後、「ファイルを出してもらい、夫がなぜ死ななければいけなかったのか明らかにしたい」と語った。
雅子さんは昨年3月、俊夫さんが自死したのは同省で改ざんを強いられたからだとして、国と佐川宣寿(のぶひさ)元同省理財局長に対し、計約1億1200万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。今年2月、国にファイルの提出を命じるよう裁判所に申し立て、今月6日までに文書で回答するよう、同地裁が国に求めていた。(米田優人、森下裕介)