イスラエル軍が使ったのと同じJDAM装備のGBU-32弾をテスト投下する米戦闘機

<バイデンが先月承認したイスラエルへの武器売却計画のなかには、ガザ地区で200人以上を殺したのと同じ武器が含まれている>

ジョー・バイデン米大統領は4月、イスラエルに対して7億3500万ドル相当の武器を売却することを承認したが、この中に、イスラエル国防軍が5月15日にガザ地区の数百の地点を爆撃する際に用いたものと同じ種類の精密誘導爆弾が含まれることがわかった。これらの標的には、世界各国の報道機関が多く入居していた高層ビルも含まれていた。

米議会の各委員会の委員長は、5月5日の時点で、この武器売却について通知を受けていた。この件については17日にワシントン・ポストがいち早く報じ、本誌も議会職員2人からこの事実を確認した。この通知が行われたのは、イスラエルとパレスチナの緊張が激化する中、ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義勢力ハマスが率いるパレスチナ側の武装集団がロケット弾で、イスラエル軍が空爆と砲兵射撃で、互いに攻撃を行い死者を出す惨事が起きるほんの数日前のことだった。

提案されたアメリカの武器売却パッケージには、統合直接攻撃弾(JDAM)も含まれている。JDAMは、通常のミサイルをいわゆる「スマート爆弾(精密誘導爆弾)」へと転換させ、正確性と破壊の効果を増す装備だ。この武器売却については15日間の精査期間が設けられているが、数十年にわたるイスラエルとパレスチナの紛争が急速にエスカレートする中で、今回この期間は5月20日に終了する予定だ。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は17日、この武器売却計画について記者団から質問が出ると、国務省の発表に沿うかたちで対応し、同省は「将来的な売却計画や武器売却に関しては」いかなる発表も行っていないはずだと述べた。ただし同報道官は、同盟関係にあるアメリカとイスラエルが長年にわたって築いてきた強固な関係について言及し、「我々はイスラエルとの間に、進行中かつ持続的な戦略的安全保障関係およびパートナーシップがある」と述べた。

イスラエルとパレスチナ武装組織の暴力の応酬は激化している。両者の紛争は、すでにここ数年で最悪の状況に陥っており、国際社会の懸念を招いている。なかでも特に世界の関心を集めているのが、流血の事態は回避されたと報じられている、ある攻撃だ。

支局を破壊されたアルジャジーラが武器を特定

イスラエル軍は15日、ガザ地区にあるメディアタワーに対して空爆を行った。ここには、AP通信やアルジャジーラをはじめとする、世界有数の報道機関の支局が入居していた。これらの報道機関の職員は、空爆の直前にイスラエル当局から発された、まもなく同ビルを攻撃するとの警告を受けて、建物内から慌ただしく避難した。

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イスラエル軍は、建物内に「ハマスの情報部門に属する軍事資産が収容されていた」ことを理由に挙げて、この空爆は正当なものだったと主張している。ビルが倒壊するまでの衝撃的な一部始終は、写真と動画に収められた。この空爆の映像から、使われた武器も特定されておいる。バイデンが提案しているイスラエルへの売却武器リストに含まれているJDAMとまったく同じシリーズに属するものだ。

アルジャジーラは独自調査で、自らの支局を破壊した武器を「GBU-31」と特定した。これは過去数年にわたってアメリカからイスラエルに輸出されたことが判明している、JDAMシリーズに属する武器の1つだ。

今回の紛争による死者は200人を優に超える。パレスチナ自治政府の保健庁は、パレスチナ側の死者を212人と発表している。その大半はイスラエルによる空爆で死亡した者だが、ほかにも、ヨルダン川西岸地区でイスラエル警察に殺された者20人強が含まれている。一方イスラエル軍は、パレスチナ側が発射したロケット弾によりイスラエル人10人が死亡したと述べている。

(翻訳:ガリレオ)