[ロンドン 5日 ロイター] – 主要7カ国(G7)財務相会合は5日、グーグルやアップル、アマゾン・ドット・コムといった巨大な多国籍企業への課税を強化するため、各国共通の最低法人税率を15%以上とすることで合意した。 

7月の主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で合意を取り付けたい考え。

議長国を務めた英国のスナク財務相は記者団に対し、「長年にわたる議論の末、G7財務相は世界の課税システムをデジタル時代に合うよう改革する歴史的な合意に達した」と語った。

「世界の税率引き下げレース」と呼んできたイエレン米財務長官は、「かつてない意義のある合意」により、その競争が終わるとの見方を示した。また、バイデン米政権下でG7会合が多国間主義に回帰したと評価し、「今回のG7では、深い協調や、より幅広いグローバル問題を調整・対処する意欲が見られた」と述べた。

ショルツ独財務相は「世界中のタックスヘイブン(租税回避地)にとって悪いニュースだ」と指摘した。

フェイスブックは今回の合意を受け、納税額が増えることになるとの見通しを示した。

イタリアは、今回の合意内容は単に米企業を狙ったものではないと説明した。

イエレン財務長官は、新しい国際ルールが適用されれば欧州各国は既存のデジタルサービス税を廃止することになると指摘。これは米企業に対する差別的な税だと米国が主張していた。同長官は「これらは密接に関連しているとの幅広い合意がある」と述べた。

主な詳細については、向こう数カ月かけて協議が続く。5日の合意では、「最も規模が大きく、最も利益を上げている複数の多国籍企業」のみが影響を受けるとされている。

欧州各国はこれまで、大部分のハイテク企業に比べて利益率が低いアマゾンが含まれないのではないかとの懸念を抱いていたが、イエレン氏は同社が含まれるとの見通しを示した。

税収の分け方も最終的にまとまっていない。また、いかなる合意についても米議会の通過が必要となる。

ルメール仏財務相は、15%は「出発点」だとして、最低法人税率の引き上げを求めると表明した。

一部の国際的なキャンペーン団体も、合意は意欲的な内容ではないと批判している。オックスファムの不平等政策担当責任者、マックス・ロウソン氏は「ハードルを低く設定して、各企業が簡単に乗り越えられるようにしている」と指摘した。

一方、法人税率が12.5%となっており、今回の合意の影響を受けるとみられるアイルランドのドナフー財務相は、いかなる国際合意も小国に配慮する必要があると述べた。

<気候変動巡る企業情報開示でも合意>

G7諸国は、イタリアのベネチアで来月開かれるG20で幅広い合意を取り付ける必要がある。実現すれば、新型コロナウイルスへの対応で大規模な財政出動を迫られてきた各国にとって、大きな税収増となる。スナク英財務相は「複雑なプロセスで、これは第一段階だ」と語った。

G7の財務相はまた、気候変動問題に関連して投資家の意思決定を容易にするため、より標準化された形での企業の情報開示に向けた動きを支持した。これは英国が掲げていた主要目標だ。

グーグルやアマゾン、フェイスブックといった巨大な多国籍企業は税率がより低い、あるいは免税措置を設けている国や地域に利益を移転。先進諸国はこうした課税逃れの抜け穴に頭を悩ませてきた。

最低法人税率を巡っては、バイデン政権がアイルランドなどの水準よりも高く、G7諸国よりも低い15%を提案。それまで停滞していた議論に弾みをつけた。

今回のG7財務相会合は、新型コロナウイルスの感染が世界に広がって以降、初めて対面方式で開かれた。