[ワシントン 25日 ロイター] – 米商務省が25日発表した5月の個人消費支出(PCE)価格指数は、食品とエネルギーを除いたコア指数が前年同月比3.4%上昇した。1992年4月以来、29年ぶりの大幅な伸びで、連邦準備理事会(FRB)の目標である2%を大幅に上回った。
総合指数の伸びも同3.9%と、前月の3.6%から加速した。
昨年春の軟調な物価がベース効果をもたらし、前年比の伸びを後押しした。ベース効果は5月にピークに達したとみられるものの、供給制約や人手不足で賃金が上昇していることから、物価の高止まりは当面解消されない見込みだ。
ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サム・ブラード氏は「年後半にベース効果が弱まるとはいえ、経済の再開が続き、サプライチェーン(供給網)が圧迫される中で需要が緩和されるとは考えにくく、インフレ率は堅調な伸びが続くだろう」と述べた。
FRBのパウエル議長は今週の議会証言で「インフレ率がここ数カ月で目立って伸びた」と認める一方、「インフレを巡る懸念を理由に、性急な利上げは行わない」と明言した。
5月の個人消費は前月比で変わらず。前月分は当初の0.5%増から0.9%増に上方修正された。エコノミスト予想は0.4%増。内訳では娯楽や飲食、宿泊などサービスの消費が増加。反対にモノの消費は減少した。
クレディ・スイスのチーフエコノミスト、ジェームズ・スウィーニー氏は「新型コロナウイルス禍による制限が緩和される中、必須以外の一般サービス部門が急速に持ち直す一方、実質小売売上高は減速している」と指摘。その上で、今後もサービス部門の改善が期待されることから、個人消費は全般的に底堅く伸びると予想した。
物価調整後の個人消費は0.4%減。前月は0.3%拡大していた。
個人所得は前月比2.0%減。前月は13.1%落ち込んでいた。賃金は0.8%上昇。前月も1.0%伸びていた。