【ワシントン、北京時事】バイデン米政権が中国・新疆ウイグル自治区での強制労働に対する制裁を強化し、再生可能エネルギー普及の切り札である太陽光発電パネルを新たな標的にした。綿製品やトマトの輸入禁止に続く措置で、サプライチェーン(供給網)から中国製品を排除する狙い。「脱炭素」の産業競争で台頭する中国は報復も辞さない構えで、米中対立が深まりそうな情勢だ。
米、太陽光パネル部材の輸入禁止 中国企業、ウイグル強制労働の疑い
米政権は24日、太陽光関連製品を生産する中国企業との取引を制限した。商務省は輸出禁止対象となる企業のリストに、世界の大手シリコンメーカー各社を顧客に持つ合盛硅業(ホシャイン・シリコン・インダストリー)など計5企業・団体を追加。税関当局はホシャイン製部材の輸入を禁じた。太陽光パネルや自動車、電子機器に幅広く使われている部材で、日本など中国以外からの輸入品でも、同社製の部材が含まれれば禁止対象となり得る。
中国は巨額の政府補助金をてこに太陽光関連製品の輸出大国となり、2位以下の日本、米国を引き離している。太陽光パネル製造に欠かせない部材「ポリシリコン」の世界シェアの半分近くがウイグル産。米国ではトランプ前政権が安価な外国製パネルの排除を狙って追加関税を導入したものの、効果に乏しく、米国で販売されているパネルのうち輸入品が約85%を占める。
米議会は中国に一段と厳しく対処する超党派法案の成立を急いでいる。バイデン政権が発表した措置は特定企業への制裁にとどまるが、上院外交委員会は包括的な制裁を定めた「ウイグル人強制労働防止法案」を24日に可決した。
英国で開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)の声明には、ウイグルを念頭に強制労働の根絶が盛り込まれた。バイデン政権が各国に「脱中国経済依存」を求めたのに対し、中国は猛反発。外務省の趙立堅副報道局長は「必要な措置を取る」と語っており、今月導入した「反外国制裁法」を盾に、報復措置を外交カードとして使う可能性もある。