【シリコンバレー時事】経済協力開発機構(OECD)の会合で1日、世界の130カ国・地域が共通のデジタル課税を導入することで大筋合意した。国境を越えて事業を展開する巨大IT企業を狙い撃ちした枠組みで、実現すれば米グーグルなどの税負担が増えるのは確実だ。各国経済への影響力を強める巨大ITについては、欧米で「解体論」も浮上。包囲網は次第に狭まりつつある。

「底辺への競争」歯止めへ前進 法人最低税率に国際ルール

 新型コロナウイルスの世界的な流行に伴う「巣ごもり需要」を捉え、「GAFA(ガーファ)」と称されるグーグルやアップルなどの米巨大IT4社は今年、いずれも1~3月期としては過去最高の売上高を記録した。モノやサービスと広大な顧客基盤をインターネットでつなぐビジネスが隆盛だ。

 一方、GAFAには欧州などで「収益に見合った税金を納めていない」という批判がつきまとう。英国やフランスは相次ぎ独自の新税を採用。デジタル課税の国際ルール化は、IT勢が本拠を置く米国の反発で停滞していたが、事態の混乱を回避するためにも議論を進展させる必要が生じた。

 GAFAに対しては、競合企業の買収や市場の寡占化で健全な競争をゆがめているという見方も強まっている。米下院の司法委員会は6月、GAFAの事業分割を視野に入れた反トラスト法(独占禁止法)改正案を可決。欧州連合(EU)でも巨大IT企業に事業分割を命じることが可能な規制強化策が検討されている。OECDではデジタル課税の導入をめぐり、10月の最終合意を目指しているが、決着後もGAFAに対する圧力が弱まる気配はない。