土石流の起点で施工された盛り土の工事は、建設現場などで生じた残土の処分を目的として熱海市に届け出が出されていたことが、わかった。残土の崩落事故は全国で起きており、市や国土交通省などが土石流との関連を調べる。

 市などによると、現場の土地は神奈川県の不動産会社が取得し、2007年、静岡県土採取等規制条例に基づき、残土の処分を目的に土砂を搬入すると届け出た。条例は工事の規模に応じて地元自治体が実務を担っており、市は当時、トラックで土砂が搬入される様子を確認していた。

 条例では、災害防止などを目的に、斜面への盛り土の高さを15メートル以内とすることなどが定められている。市は、工事状況の確認を当時実施したかどうかなど引き続き経緯を調べている。

 現場は、宅地造成等規制法で、より強い安全対策や自治体による工事完了検査が義務づけられた指定区域だが、工事目的が宅地造成でなかったことから、同法の規制対象外だった。

 建設残土は、再利用できる資源とみなされており、廃棄物と違って処分を直接規制する法律がない。余った残土が山間部に積まれたり、埋め立てられたりするケースもある。国交省によると、残土の崩落事故は2001~14年に大阪府や山梨県など11府県で14件発生し、民家が巻き込まれて1人が死亡している。

 静岡県は今回の土砂の崩落量は約10万立方メートルで、うち5万立方メートル以上が盛り土と推定している。