東京オリンピックが緊急事態宣言が出される中での開催となったことを受けて、大会組織委員会は大会期間中、臨海部に設置される聖火台の周辺への立ち入りを制限して、現地での観覧の自粛を呼びかけることを決めました。
また、周辺で計画されていた公式グッズ販売店の営業なども見送られることになり、東京オリンピックを象徴するエリアは、計画の大幅な見直しを迫られる形となりました。
しかし、オリンピックは都内に緊急事態宣言が出される中での開催となり、人流の抑制や密集を防ぐ必要があるとして、組織委員会は聖火台の現地での観覧自粛を呼びかけることを決めました。
周囲には人が近づけないように柵を設け、立ち入りを制限するということです。
また「青海アーバンスポーツパーク」と東京テレポート駅の近くに設けられる予定だった、公式グッズ販売店やスポンサー企業のブース、それに競技が体験できるイベントもすべて中止が決まりました。
コロナ禍で開催されるオリンピックは、ほとんどの競技会場が無観客となったうえ、大会を象徴するエリアも新型コロナウイルスの影響で計画の大幅な見直しを迫られる形となりました。
一方で組織委員会は、パラリンピックの期間中の計画については、感染状況を踏まえてオリンピックの終了後に判断するということです。
観覧自粛も 人の密集を懸念する声
聖火台が設置される「夢の大橋」は、2キロの遊歩道が「オリンピックプロムナード」と名付けられ、誰もが無料でパフォーマンスなどを楽しめるにぎわいの場所となることが期待されていました。
イベントの中止と聖火の観覧自粛を呼びかけることが、15日になって発表されましたが、組織委員会によりますと、遊歩道には大会期間中、聖火台の周辺の一部以外は自由に立ち入ることができるということです。
15日の現場には聖火台が置かれる場所に高さ5メートルほどの箱形のカバーが設けられていました。
遊歩道は近くの駅を利用する会社員や学生の通り道となっていて、人の密集を懸念する声も聞かれました。
近くの企業に勤める50代の男性は「観覧の自粛を呼びかけるというが効果がどこまであるのかわからないし、来る人は来てしまうと思う」と話していました。
近くの大学に通う学生は「この時期、人が集まるのはよくないなと思う。聖火台はテレビで見るのがいちばんいいなと思う」と話していました。
4歳の子どもを連れた30代の男性は「自粛を呼びかければ、実際に来る人の人数は減るとは思う。ただ、個人的にはここでは見られない形にして映像で見られるようにすればいいんじゃなかいと思う」と話していました。
五輪スポンサーや街の人の反応は
公式グッズの販売やスポンサー企業の製品のPRが行われる予定だったエリアは「ファンパーク」や「ファンアリーナ」と名付けられました。
およそ10社が出展する予定でしたが、中止を決める企業が相次ぎ、開幕8日前の15日、実施の取りやめが正式に決まりました。
発表を受けて、石油元売り大手のエネオスは「残念ではありますが、新型コロナウイルスの感染拡大の防止と安心・安全な大会の実現を両立するために、やむをえない判断だと考えています。大会がこのような状況においても、世界に向けて感動と勇気を発信する歴史的な大会となることを信じ、パートナー企業として大会を支えていきたい」とコメントしています。
ファンパークの会場では、15日も工事関係者が資材の搬入などの作業にあたっていました。
3年前から近くに住む中国人留学生の男性は「コロナの影響でいったん建設工事を中断して、半年前から再開していた。せっかく作ったのに、中止したらムダになってしまうので、少し残念な気がします」と話していました。
一方、男性の妻は「こうした施設がオープンすると、人がたくさん来て感染者が増えてしまうのではないかと心配でした」と話していました。
飲食店で働く47歳の男性は「企業にとってはアピールできないことが続いているので、少しかわいそうかもしれませんが、飲食店で働く私たちは我慢しているのに『オリンピック』だけ許されるのは違うと思います」と話していました。