• 将来的に高い付利に変更の可能性も、対象は基本的に国内投融資
  • 7月以降の国債オペ減額、今後減らしていくということではない
黒田東彦総裁 Photographer: Koji Uema/The Nikkei

日本銀行の黒田東彦総裁は16日の金融政策決定会合後の記者会見で、気候変動対応投融資を支援する新たな資金供給制度(気候変動対応オペ)について、0%付利や2倍のマクロ加算残高が、金融機関の利用を促進する十分なインセンティブになるとの認識を示した。

  将来的により高い付利に変更する可能性は「あると思う」と語った。0%付利は、貸出促進付利制度における3段階の付利の中で最も低い水準で、会合前にはプラス付利との予想もあった。新型コロナ対応オペはプラス付利だが、黒田総裁は資金繰りを早急に支援する必要から「高めのインセンティブを付与している」と説明した。

Bank of Japan Governor Haruhiko Kuroda News Conference After Rate Decision
日本銀行の黒田東彦総裁Photographer: Minoru Matsutani /Jiji Press/Bloomberg

  気候変動対応オペは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の基準を中心とした気候変動に関する一定の情報開示をしている金融機関が対象となり、地方銀行を含む幅広い参加を期待しているという。資金供給の規模については明言を避けた。

  基本的には国内向けの投融資を対象とする。ただ黒田総裁は、海外向けに関しても、日本の気候変動対応や二酸化炭素の排出量の削減につながるものを「排除する必要はない」と話した。

  気候変動への対応は日銀のマンデート(使命)の範囲内とした上で、能力を「フルに使ってこの問題に十分な対応をしていきたい」と説明。気候変動に対する金融政策の効果発現は中長期的なものとの認識を示した。

  また、7月以降の国債買い入れ予定額の公表をそれまでの毎月から四半期毎に変更した上で、減額したことに関しては、微調整だと説明。「市場機能の一段の発揮を促すことを意図したもの」とし、国債の買い入れ額を「今後、減らしていくということではない」と語った。