23日夜、行われた東京オリンピックの開会式の出演者や関係者に思いを聞きました。

式典の統括を務めた大会組織委員会の日置貴之エグゼクティブプロデューサーは、「無事式典を終えられてほっとしています。開会式をきっかけに大会に参加する皆さんが全力を発揮できて、世界中の皆さんが少しでも前を向くきっかけになればうれしい」と開会式を振り返りました。

そのうえで、開会式が無観客での開催になったことについては、「特に子どもたちで会場が埋まっている姿を見たかったが、この状況なのでしかたない」と話しました。

また、開会式前日まで式典関係者の辞任が続いたことについては、「事態を重く受け止め、非常に申し訳ないと思っています。開会式で使う楽曲については時間がない中でもいい曲に変更できてよかった」と話しました。

一方、聖火リレーの最終ランナーにテニスの大坂なおみ選手を起用したことについては、「日本を代表するアスリートで、いろいろなメッセージを発信していて、もっともふさわしいと思い決定しました」と話しました。

アスリートの孤独 表現したパフォーマンス

ボクシング女子の津端ありさ選手は、看護師として働きながら東京大会出場を目指していました。

しかし新型コロナウイルスの影響で世界最終予選が中止となり、戦わずして夢を絶たれました。

開会式では不安や葛藤の中でも挑み続けるアスリートの孤独さを表現したパフォーマンスを見せました。

開会式後の会見で津端選手は、「みんなで練習してきたパフォーマンスを無事に披露できたことをうれしく思っている。私がパフォーマンスした孤独なアスリートは、コロナ禍で延期になった1年を過ごしてきた気持ち、ボクシングの代表選手たちと一緒に頑張ってきたこと、そして、医療現場で頑張ってきた同僚たちのことといったいろいろな感情を込めつつパフォーマンスしました」と述べました。

そのうえで津端選手は、「一緒にボクシングを頑張ってきた代表選手たちはこれからパフォーマンスするので、開会式に携われたことはすごくありがたいです。次は選手でオリンピックに出たいという気持ちがさらに強くなりました」と話していました。

吉田沙保里さん「3人に渡すとわかったときには涙」

レスリング女子でオリンピック3連覇を果たした吉田沙保里さんは開会式で聖火を運びました。

吉田さんは開会式後の会見で「たくさんの方の思いが詰まった聖火を国立競技場でつなぐことができてとてもうれしく思っています。選手たちがしっかり最後まで全力を出し切ってあきらめないで戦う姿を応援したいと思っています」と話していました。

長嶋茂雄さん、王貞治さん、そして松井秀喜さんに聖火をつないだことについては、「リハーサルをやるまで誰に渡すか全然わからなくて、3人に渡すとわかったときには涙が出た。本当に光栄なことだと思い、本番までどきどきしながら、最終的にしっかり聖火をつなぐことができたので、とてもうれしかったです」と話していました。

50種類の動くピクトグラム表現

が~まるちょばのHIRO-PONさんは開会式で50種類の動くピクトグラムを表現しました。

HIRO-PONさんは「収録することもできましたが、ライブでやるということを重視しました。もともと50種類を4分でやってくれと言われていましたが、どうしても時間が足りなくて5分でやらせてもらいました」と話しました。

そのうえで「『が~まるちょば』はジョージア語で『こんにちは』ということばです。選手入場はテレビで見ていましたが、ジョージアの選手団が入っていくときに自分の中で盛り上がりました」と話していました。

組織委「プレーブック記載のルール守って」

開会式後の会見では記者から「選手の中にはマスクをしていない人もいた。何らかのアクションを起こす考えがあるか」という質問がありました。

これに対して大会組織委員会の高谷正哲スポークスパーソンは「今大会は参加する人たちにプレーブックに記載のルールを守ってもらい、一人一人その役割を務めてもらうことで、引き続き大会の成功に寄与してもらいたい」と答えました。

そのうえで「この大原則を大会終了までしっかり理解いただいて、協力をいただきたいと思っている。引き続き選手団のみな様、選手団にかかわらず、この大会に参加しているみな様には同じ気持ちでこの大会の成功にぜひ寄与していもらいたい」と話していました。

海外のメディア関係者「どの程度 盛り上がるかわからない」

開会式に出席した海外のメディア関係者からは、さまざまな声が聞かれました。

イギリスからのジャーナリストは「新型コロナウイルスの感染が拡大し、複雑な状況の中での大会実施だが、今回の開会式でいいスタートを切れたのではないか」と話していました。

一方、過去にナチス・ドイツによるユダヤ人の大量虐殺をやゆするセリフを使用したとして、式のショーディレクターを務めていた小林賢太郎氏が解任されるなど、問題が続いたことについては、「多くのスキャンダルが起きたことは恥ずべきことで、細心の注意を払うべきだった」と話していました。

イギリスの公共放送、BBCのプロデューサーは、「多くの困難があったが世界中からアスリートが集まり、人々の多様性や世界に対する希望を示したすばらしい開会式だった」と評価していました。

ドイツのジャーナリストは、「過去のオリンピックも取材したことがあるが、今回の東京大会は無観客で式に参加する選手も少なく、これまでのような熱気や興奮は感じられなかった。また、式の中でマスクをしていない選手がいてよくないことだと思った。大会が進むにつれて熱気も高まると思うが、開催反対の声も多い中でどの程度、盛り上がるかはわからない」と厳しい見方を示していました。