[東京 10日 ロイター] – ソフトバンクグループが10日に発表した2021年4―6月期の連結純利益(国際会計基準)は、前年同期比39.4%減の7615億円だった。前年同期に米携帯電話のスプリント(現TモバイルUS)が支配下から外れたことに伴って、一時的な利益を計上した反動で減益となった。
会見した孫正義会長は、両社の合併に伴って一時的に発生した利益を除くと、前第1四半期の純利益は1500億円程度、今第1四半期は5000億円程度となり、大きく伸びたと説明した。
ビジョンファンドの投資利益は累計で6兆7276億円。「でこぼこはあったが、それなりに順調にいっている」と評価した。
AI関連への投資を重視する孫会長は、17年以降に世界のAI関連企業が実施した資金調達のうち、およそ10%を同社が資金提供したとアピール。「平均20%程度の株式を保有する株主となった。日本で世界ナンバーワンという会社は減ってきたが、われわれはこういう特徴を持っている」として、AI技術の進化を加速させる戦略を、重ねて強調した。
6月末時点で、同社が保有する株式の価値は31兆円となった。「負債が5兆円あることで、SBGは借金だらけ、借金バンクだという人いるが、保有株の16%を売却すれば1─2カ月で(返済が)可能だ」と財務面の余力にも言及した。
市場で待望論が出ている自社株買いに関しては「保有時価純資産に対して、時価総額は50%割安だ。どこかで自社株買いはやるが、規模やタイミングは日々検討中だ」と話した。
中国投資に関しては「どのような規制がどのような範囲で行われるのか、それが株式市場にどのような影響を与えるのか、もう少し様子を見たい」との考えを示した。同時に「おそらく1─2年すれば、新たなルールの下で新たな秩序がもう一度構築されると信じているので、その状況がはっきりしてくれば、投資活動を活発に行うことは、十分可能性としてある」とした。
ビジョンファンド等の地域別投資先は、米が34%、中国以外のアジアが25%、中国が23%。欧州13%など。
同社は通期見通しを開示していない。