[北京 31日 ロイター] – 中国当局は30日、18歳未満を対象にオンラインゲーム利用を1週間で計3時間に制限する新たなルールを導入した。ゲーム中毒問題の対策として必要な措置だとしている。

新ルールはオンラインゲーム業界の実行義務として打ち出され、この法律自体が違反した個人を処罰するわけではない。 

◎ゲーム中毒を懸念する理由

世界最大のオンラインゲーム市場となっている中国では、当局が何年も前から若者のゲームやインターネットへの依存症に懸念を持ち、いわゆる「ゲーム障害」の子どもたちに治療と軍事訓練を組み合わせて行う医療施設を設置している。

2018年には、若者の間で近視が増えていることも心配な要素の1つに挙げられた。

新作オンラインゲームの販売承認権限を有する国家新聞出版署(NPPA)は30日、新ルールについて、ゲームが子どもたちの身体と精神の健康に悪影響を及ぼしているとの心配が広がっていることに対応したと説明した。

国営メディアによると、中国の未成年の約62.5%は頻繁にオンラインゲームで遊び、平日1日当たり2時間以上モバイルゲームをする未成年も13.2%に達している。

中国当局はここ数週間、子どもたちの健康と福祉を守る必要性を理由に、私立の塾産業や芸能人をもてはやす風潮も取り締まりつつある。

◎これまでの対応

17年にはテンセント(騰訊控股)が、主力モバイルゲーム「王者栄耀」の一部若者利用者に対して、プレー時間を制限すると表明した。親や教師から、子どもが中毒になっていると苦情が出たためだ。

その1年後、政府は近視の増加が懸念されるとの理由で、子どものゲーム時間を規制する措置を検討しているとした上で、新作ゲームの承認を9カ月停止。中国当局は、18歳未満を対象にオンラインゲーム利用を1週間で計3時間に制限する新たなルールを導入した。ゲーム中毒問題の対策として必要な措置だとしている。

19年に入って未成年が平日にゲームができる時間を1時間半未満、週末を同3時間にするとともに、午後10時から午前8時まで全面禁止とすることを定めた法律を制定した。

未成年が毎月オンラインゲームの有料アイテムに使える金額も、年齢に応じて28ドルから57ドルまでの上限が設けられた。

さらに未成年はゲームにログインする際に実名と各自に国家が与えたID番号を使うことが義務化され、テンセントやネットイース(網易)といったゲーム大手は「実名検証システム」の立ち上げが必要になった。

今年7月、テンセントは未成年が夜中に親のIDでログインしてゲームをするのを防ぐための顔認証による本人確認ができる仕組みを採用した。

◎新ルールの内容と効力

9月1日から適用される新ルールは、18歳未満の子どもが月曜から木曜までオンラインゲームをすることを禁止し、金曜と土日、法定休日は午後8時から午後9時まで1時間だけの利用を認めている。

ゲーム企業は、実名検証システムを確実に実行するだけでなく、最終的には全てのゲームをNPPAが立ち上げつつある中毒対策システムと連結させる必要が出てくる。

こうした時間制限を徹底するため、NPPAは国営新華社を通じて、ゲーム企業への査察回数を増やし、査察態勢も厳格化する方針を示した。

また、NPPAは新ルールに違反した企業を罰するための措置を強化する考え。昨年中には1万種類以上のゲームの審査を行っており、既に処罰件数も増やした。

未成年がまだ親のIDでログインして規制をすり抜ける余地があるとも主張し、親や学校がもっと監視を厳しくしなければならないと訴えている。