[シドニー 1日 ロイター] – オーストラリアの当局は1日、ビクトリア州の州都メルボルンのロックダウン(都市封鎖)を3週間程度延長すると発表した。新型コロナウイルス対策の焦点を、新規感染者をゼロに抑え込むことからワクチン接種加速にシフトさせている。 

ビクトリア州のアンドリュース首相は、少なくとも1回目のワクチン接種を済ませた成人が全体の70%に達した時点で封鎖の段階的緩和を開始する考えを明らかにし、遅くとも9月23日までの達成に期待を示した。

「われわれは全力を投じてきたが、感染者の減少につながる見込みはなく、むしろ増える見通しであることが明確になった」と指摘。ロックダウンは約1カ月前から続けられているが、感染抑制につながっていない。延長前の期限は2日だった

アンドリュース氏は「ワクチン接種実施の時間を確保する必要がある。その間、可能な限り感染を抑えるためにこの非常に厳しく、大きな痛みを伴う困難な取り組みを行う」と述べた。

ビクトリア州で1日に確認された新型コロナの新規市中感染者は120人と、前日の76人から大幅に増えた。

一方、ニューサウスウェールズ(NSW)州は16歳以上の人口のコロナワクチン接種完了率70%の達成時期見通しを10月末から10月半ばに前倒しした。感染拡大による接種加速が背景にある。

NSW州のベレジクリアン首相は記者団に「70%の接種率が達成できれば、どこに住んでいようと、生活は今よりもかなり良くなり、自由になる」と強調した。同州のワクチン接種完了者の割合は37%で、少なくとも1回の接種を済ませた人は67%に達している。

NSW州の新規感染者は1116人となり、前日の1164人を下回った。

オーストラリアでは現在、NSW州の州都シドニーとメルボルン、首都キャンベラでロックダウンが敷かれており、全人口の半数以上が影響を受けている。

ベレジクリアン氏は、接種率が80%に到達すればNSW州で海外からの渡航者の受け入れを開始すると言明。他州が州境の閉鎖を解かなくても、他州の住民がシドニーに空路で入るのを認める可能性があると表明した。

モリソン首相は議会で、最終的にはロックダウンを解除する必要があると発言。「オーストラリアはこのウイルスと共に生きていける」と述べた。

フライデンバーグ財務相は州政府のトップに対し、連邦政府の経済再開計画に従うよう要請。「計画に従うべきだ。この計画で企業は事業を再開し、将来について計画を立てることができる。この計画でオーストラリアは前進し、ウイルスと共に安全に生きていける」と述べた。