自民党の高市早苗前総務相は8日午後、国会内で記者会見を開き、菅義偉首相(党総裁)の後任を選ぶ自民党総裁選への立候補を正式に表明した。安倍晋三前首相の支援を受け、立候補に必要な推薦人20人の確保にめどがついたという。

 高市氏が立候補すれば、同党総裁選に女性が出るのは、2008年9月の総裁選での小池百合子氏(現・東京都知事)以来となる。

 高市氏は会見の冒頭、「日本を守る責任と未来を開く覚悟を持って立候補を表明する」と発言。「国の究極の使命は生命と財産を守り抜くこと。領土、領海、領空、資源を守り抜くこと。国家の主権と名誉を守り抜くことと考える。その使命を果たすために全てを懸けて働く」と語った。

 高市氏は、安倍政権の一連の経済政策の継承・発展を唱えている。この日の会見では「経済を立て直し、成長軌道に乗せていく」と主張。金融緩和、緊急時の機動的な財政出動、大胆な危機管理投資・成長投資を「3本の矢」とする考えを示し、「日本経済強靱化計画、いわゆる『サナエノミクス』」と名付けた。

 また、インフレ率が2%に届くまでは、プライマリーバランス(国と地方の基礎的財政収支)の黒字化目標を「凍結」し、財政出動を優先すべきだと主張。コロナなどの危機を最小化するための研究や製品サービスの開発への「危機管理投資」を通じ、成長を後押しすることなどを目指す。

 高市氏は、衆院奈良2区選出の当選8回。2006年の第1次安倍内閣で沖縄・北方相として初入閣。12年の第2次安倍内閣以降、総務相や自民党政調会長などを歴任した。党内の派閥には属しておらず、安倍氏ら保守系議員を中心に支持拡大を目指す。高市氏は、総務相在任中を含めて節目での靖国神社(東京・九段北)へ参拝を続けており、首相に就任後も参拝する意向を示している。

 総裁選は17日告示、29日投開票で、岸田文雄前政調会長がすでに立候補を表明し、河野太郎行政改革相が立候補の意向を固めている。野田聖子幹事長代行が菅首相や二階俊博幹事長に立候補の意向を伝えているほか、石破茂元幹事長も立候補を模索している。(楢崎貴司)