- G20首脳会議出席をまだ確認せず、コロナ対策理由か-欧州の外交官
- 首都の北京への出入りを厳重に管理-米特使さえ入れず
20カ国・地域(G20)首脳の中で最も長く国内にとどまり続けているのが中国の習近平国家主席だ。1年8カ月近く外国を訪問していない。習主席が長期にわたり外遊を控えていることで、気候変動や対米関係を含めあらゆる面で進展が妨げられるのかどうかが焦点になる。
中国とブラジル、ロシア、インド、南アフリカ共和国の新興5カ国(BRICS)は9日、オンライン形式で首脳会議を開催。習主席は今年これまでに10を超えるイベントにビデオを通じて参加し、世界の首脳とは60回ほど電話会談を行っている。ロシアのプーチン大統領やドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領に加え、直近ではバイデン米大統領とも電話で会談した。
だが、中国が採用している新型コロナウイルス徹底排除戦略に基づいて習主席が国内にとどまり続けようとすれば、外交に影響が出始めるのではとの懸念が強まっている。ローマでは10月末にG20首脳会議が開かれ、続いて英スコットランドのグラスゴーで第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が開催される。
コロナのパンデミック(世界的大流行)発生以来、中国と欧米の関係は悪化。半導体などハイテク製品の輸入や香港の政治的自由、新疆ウイグル自治区でジェノサイド(民族大量虐殺)が行われているとの米国などの主張を巡り溝は深まっている。
主要な国際会議では首脳同士による直接会談も可能で、緊張緩和に寄与する機会にもなり得るが、習主席が外遊に消極的なことがそうした芽を摘むことになりかねない。欧州の上級外交官によると、習主席はG20首脳会議への出席をまだ確認していない。この外交官は習主席が直接参加しないかもしれない理由として、中国のコロナ対策を挙げた。
習主席が直近の外遊から戻ったのは2020年1月18日。隣国ミャンマーからの帰国だった。その5日後、中国政府は湖北省武漢市のロックダウン(都市封鎖)に踏み切り、世界中にコロナ感染の深刻さが知れ渡った。
中国は特に首都である北京をコロナから守ることを重視しているようだ。他の都市よりも出入りが厳しく管理されており、一人一人に行動を記録するアプリの使用を求めている。外国からの高官でさえ北京入りは許されておらず、最近訪中したケリー米大統領特使(気候変動問題担当)が滞在したのは、北京市中心部から約100キロメートル離れた天津市だった。
原題:Xi Jinping Hasn’t Set Foot Outside China for 600 Days (1)(抜粋)