[ワシントン 14日 ロイター] – 米労働省が14日発表した8月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数の伸びが前年同月比4.0%と、7月の4.3%から鈍化し、市場予想の4.2%を下回った。ただ、人手不足や供給網の混乱など物価の押し上げ要因は解消しておらず、インフレはしばらく高止まりする恐れがある。

前月比でも0.1%上昇と、7月の0.3%から縮小。2月以来、6カ月ぶりの低い伸びにとどまった。

8月の総合CPIは、前月比0.3%上昇と、7月の0.5%上昇から鈍化した。前年同月比では5.3%上昇。7月は5.4%上昇だった。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は一貫して、高インフレが一過性のものであると説明しているが、市場では疑問を投げかける声も根強い。

アバディーン・スタンダード・インベストメンツの次席エコノミスト、ジェームズ・マッキャン氏は「年初のような爆発的な上昇はないにしても、インフレ率は依然として高止まりしており厄介だ」と警戒感を示した。同時に、今後半年間でインフレ率がさらに低下するようであれば、FRBが量的緩和の縮小(テーパリング)に続いて早急に利上げを行うべきだとの声も和らぐと予想した。

内訳では、中古自動車・トラックが前月比1.5%下落し、半年ぶりにマイナスに転じた。処方薬は0.4%値下がり。新型コロナ変異ウイルス「デルタ株」がまん延する中、航空運賃は9.1%落ち込んだほか、ホテル・モーテルも3.3%下げた。

一方、食品は0.4%上昇。ガソリンは2.8%上昇と、7月の2.4%から伸びが拡大した。家具・寝具は2.3%、電気器具は1.5%それぞれ上昇。供給制約が引き続き物価を押し上げた。

全般的には、供給網の逼迫が続く中、労働市場は徐々に引き締まっており、賃金上昇圧力が増している。また、ワクチン接種の拡大で企業が従業員のオフィス勤務を再開しており、郊外から都市に人々が移動。供給不足による住宅の記録的な価格上昇や家賃の上昇を引き起こしており、これらは物価上昇が続く要因になり得る。

シティグループのエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は「最近、セクター間で賃金圧力が高まっていることから、サービス価格の上昇がより広範囲に及ぶ可能性がある」と指摘。さらに「ここ数カ月の『一時的』な価格構成要素の力強い上昇が当面、インフレの前年比の伸びを押し上げ続けるだろうが、インフレ圧力の持続性を測るためには、統計を細かく分析することが一層重要になる」と述べた。

一部のエコノミストは、FRB当局者らが来週21─22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でインフレ見通しを引き上げると想定している。FRBが物価の目安として注目するコア個人消費支出(PCE)価格指数は7月に前年比3.6%上昇、6月と同じ伸びになり、引き続き目標の2%を大幅に上回った。8月のPCE価格指数は月内に公表される。