中国で行われている米アップルの「iPhone(アイフォーン) 」組み立て作業で使用するエネルギー消費が減少し始めている。同国内でエネルギー供給が突然ひっ迫し、政府が幅広い業種に制限をかけたことが背景にある。

  アップルの主要パートナー企業でアイフォーンの組み立て生産を請け負う台湾の和碩聯合科技(ペガトロン)は27日、地方政府の政策に従って省エネ対策を講じていると説明した。ただ、事情に詳しい関係者が明らかにしたところによると、アップルの携帯端末の受託生産企業はこれまでのところ大幅な生産減少を回避できており、操業継続のためエネルギーへの優先的なアクセスを得ているもようだ。

  情報が公開されていないとして匿名を条件に述べた同関係者のうち2人によれば、中国東部の昆山市にあるペガトロンのアイフォーン組み立て拠点では若干の影響を受けるにとどまっている。付近にある立訊精密工業のアイフォーン組み立て部門には大きな影響は出ておらず、当初の予定に合わせて主要製品の出荷準備を続けていると、関係者の1人が語った。

  習近平国家主席の脱炭素化推進に加え、高騰する石炭・ガス価格に対応するため、中国当局者は江蘇省や広東省など重要な経済拠点を含む複数の省で産業界にエネルギー使用の制限をかけている。アップルのサプライヤーが操業を維持できていることから、中国政府は先進的な製造業をエネルギー使用制限の対象から除外している可能性がある。

  ペガトロンは「当社は過去数年間にわたり省エネ・節水対策を講じているほか、現在の状況が当社の操業や生産能力に及ぼす影響を抑制するため、包括的な対応策を取っている」と説明した。

Workers Inside The Pegatron Corp. Factory in Shanghai
上海にあるペガトロンの工場Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

原題:IPhone Assembler Starts Energy-Saving Measures in China(抜粋)