[ニューヨーク 9日 ロイター] – 米国株式市場は下落し、連日の最高値更新に終止符を打った。利益確定の動きに加え、インフレ懸念が幅広い売りにつながった。

S&P総合500種とナスダック総合は前日まで8営業日連続、ダウ工業株30種は2営業日連続で終値での最高値を更新していた。

こうした中、市場を動かす材料がなく、利食い売りが出たようだ。LPLフィナンシャルのチーフ市場ストラテジスト、ライアン・デトリック氏は、市場がかなり上昇してきたことから利食い売りが出ても当然と指摘。「株は毎日上がるものではないということを思い出させる。きょうは幾分売られ過ぎだが、過度に懸念する必要はない」と語った。

9日発表された10月の卸売物価指数(PPI)は前月比0.6%上昇と、9月の0.5%上昇から伸びが加速した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴うサプライチェーン(供給網)の問題が続く中、高インフレが当面続く公算が大きいことが示された。

卸売物価の上昇が消費者にどの程度転嫁されているかを探る上で10日発表の消費者物価指数(CPI)統計が注目される。

S&P主要11セクターでは5セクターが下落。一般消費財が1.4%安と最大の下落率を記録した。一方、公益事業は0.4%上昇し、セクターの上げを主導した。

第3・四半期決算シーズンは終盤を迎えており、これまでにS&P500種採用企業のうち445社が決算を発表済み。リフィニティブによると、このうち81%がアナリストの予想を上回っている。

ゼネラル・エレクトリック(GE)は2.6%上昇。企業全体を3分割すると発表したことを受けた。

テスラは12%下落し、一般消費財セクターを圧迫。テスラ株の約1割を売却するというマスク最高経営責任者(CEO)の提案がツイッター上の投票で57.9%の支持を得たことを受けた下落が続いた。

ネット証券のロビンフッド・マーケッツは顧客約500万人の電子メールアドレスを第三者が入手する事案が今月3日に発生したと発表。株価は3.4%下落した。

好調な決算を受け、ソーシャルゲーム大手ジンガは9.4%、住宅建設大手DRホートンは5.2%、それぞれ値上がりした。

ニューヨーク証券取引所では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.13対1の比率で上回った。ナスダックでは1.40対1で値下がり銘柄数が多かった。