[グラスゴー 13日 ロイター] – 国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は13日、合意文書を採択し、閉幕した。地球の気温上昇を1.5度に抑える望みを維持し、壊滅的な気候変動を回避することを目指す。 

今回の会議はCOPとして初めて、人為的な地球温暖化の主要因となっている化石燃料の削減を求めた。12日までの開催予定だったが、会期を1日延長して議論を継続していた。

石炭に依存する途上国や中国の支持を受けたインドが、化石燃料の削減を巡る文言に反発し、表現の修正を求めた。

これを受け、石炭火力の「段階的廃止(phase out)」ではなく、「段階的削減(phase down)」に向けた努力の加速を各国に要請するという表現に修正された。

インドのヤダフ環境相は「新興国の事情」を反映するため修正が必要だったと指摘。COP26では石油や天然ガスの段階的廃止を求める同様の声はなかったのに対し、石炭だけが標的になったとの見方を示した。

その上で「途上国にとって妥当で、温暖化対策の公平性からも妥当な合意を形成する努力をした」と述べ、歴史的に見て先進国の排出の割合が大きいことに暗に触れた。

欧州連合(EU)やスイスなどの富裕国に加え、海面上昇のリスクに直面する島しょ国は表現の修正に失望を示したが、採択には反対しなかった。

国連のグテレス事務総長は「採択された文書は妥協(の結果)だ。現在の世界の利害や状況、矛盾、政治的意思の状態を反映している」とし、「重要なステップを踏んだが、深い矛盾を克服するに十分な共同の政治的意思は見られなかった」と述べた。

合意文書は、これまでに各国が表明した温暖化ガス削減目標では不十分であることを実質的に認め、より踏み込んだ目標を2022年に設定するよう各国に求めた。これまでは5年ごとに目標を示す必要があった。

科学者らによると、世界の気温上昇が1.5度を超えれば、極めて大幅な海面上昇や、現在よりはるかに深刻な干ばつや豪雨、山火事といった自然災害につながることになる。

しかし、各国がこれまでに表明した削減目標では、世界の平均気温の上昇を2.4度にしか抑えられない。

環境保護団体グリーンピースのジェニファー・モーガン事務局長は合意文書について「文言は変更されたが、石炭の時代が終わりつつあるという、COP26から発せられたシグナルは変えられない」と述べた。

合意文書では、低所得国の気候対策への資金支援について、2025年までに19年比で倍増させるよう富裕国に促した。

また、富裕国が20年までに年間1000億ドルの資金支援を実現するとしていたにもかかわらず未達となっている約束について、国連の委員会が来年、進展状況を報告する。各国政府は22、24、26年に気候ファイナンスに関する会合を開く。