「国際協調は政策の実行効率を高めるかもしれないが、実際のところ、重要で信頼できる強固な追加メリットが得られるという考えには懐疑的だ」。米連邦準備制度理事会(FRB)のクラリダ副議長による先週の発言です。クラリダ氏の疑問は金融政策の国際協調に関するもので、需給が支配する石油の世界となると話は違うのかもしれません。バイデン政権は10年ぶりとなる石油備蓄の協調放出を指揮し、持ち前の外交力を経済政策で発揮して見せました。しかしガソリンスタンドでの小売り価格に反映されるかどうかは依然不透明で、少なくとも感謝祭に伴う国民の大移動には間に合わなさそうです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

国際協調

米国は5000万バレルの石油備蓄を放出する。放出は日本と中国、インド、韓国、英国との協調で実施される。石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」の反発を招く可能性がある。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物1月限は、一時の下げを埋めて、約2%高で引けました。放出の大部分が将来返還される形をとっているため、先行きで需給がひっ迫するとの思惑を生んだ。日本経済新聞は日本政府が24日に初の国家備蓄放出を発表すると報じた。

不合理

トルコのエルドアン大統領は同国中央銀行のカブジュオール総裁と会談していたことが、事情を直接知る当局者の話で明らかになった。トルコ・リラは23日の外国為替市場で一時18%急落しており、対ドルで最安値を更新した。エルドアン大統領は物価上昇にもかかわらず低金利を追求する姿勢を崩しておらず、金融政策がますます不合理で予測不可能になりつつあるとして、投資家は不満を訴えている。トルコは9月以降、政策金利を4ポイント引き下げた。

記録的なインフレ

ユーロ圏の経済活動は11月に予想外の拡大加速を示した。IHSマークイットが発表した11月の購買担当者指数(PMI)速報値は総合が55.8と、前月の54.2から上昇。市場では前月比で低下が見込まれていた。ただ、域内の景気回復は新型コロナウイルスの感染再拡大や「記録的なインフレ圧力」に直面している。IHSのクリス・ウィリアムソン氏は、「供給遅延は今もかつてない高い水準で、エネルギー価格も上昇する中で、PMI調査を開始して以降のどの期間よりもはるかに物価上昇圧力が強まっている」と述べた。

名誉の代償

米銀JPモルガン・チェースは再び、世界の金融機関でシステム上最も重要な銀行に単独指定された。いっそう厳しい資本要件を課されることになる。金融安定理事会(FSB)はグローバルなシステム上重要な銀行(G-SIB)のリストを発表。JPモルガンは前年から1段階引き上げられ、2.5%の追加バッファーを求められる唯一の銀行に位置付けられた。ゴールドマン・サックス・グループとBNPパリバも1段階上昇。リストに入った30行の顔ぶれは前年から変わっていない。

風向きに変化

「パンデミックの勝ち組銘柄」の代表格とされる米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの株価は、一時19%下落し、昨年5月末以来の安値を付けた。8-10月(第3四半期)決算ではオフィスや学校の再開が進む中で事業の伸び減速が明らかになり、同じくロックダウンの勝ち組とされたペロトン・インタラクティブ、テラドック・ヘルスと同様の展開となった。現時点でのこの日の下げを含めると、ズームの時価総額は昨年10月のピーク時に比べ1000億ドル(約11兆5000億円)以上減少。それでも2019年の上場時からの上昇率は依然400%を超えている。

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