新型コロナウイルスのオミクロン変異株の震源地となっている南アフリカ共和国の主要医療施設の初期データでは、感染者数が急増したものの比較的軽症で、入院者数の急増は見られなかった。バイデン米大統領の首席医療顧問を務める米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長は同変異株について、「これまでのところ、重症度はそれほど高くないようだ」と指摘した。ただ、結論を下すのは時期尚早だとも述べた。

  ファウチ氏は5日、CNNの番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン」で、南アの初期データには「やや勇気付けられる」と発言。慎重に判断する必要があるが、既存のワクチンはオミクロン株に対し、「かなりの予防効果」をもたらす可能性があると述べた。

  同氏はオミクロン株が少なくとも米国の16州で確認されているが、新たな情報が入る中でバイデン政権はアフリカ南部諸国からの渡航禁止措置の見直しを進めていると語った。

  米バイオテクノロジー大手モデルナのスティーブン・ホーグ社長は、オミクロン株に対する既存ワクチンの有効性について、従来型への効果より低くなるリスクは明白だがどの程度劣るのかはまだ判断できないと述べた。

モデルナ社長、既存ワクチンの対オミクロン効果は従来より低いリスク

  フランスのルメール経済・財務・復興相は5日のラジオ局ヨーロッパ1などとのインタビューで、ロックダウン(都市封鎖)を含む新たな制限措置を回避するために最大限の努力を行う必要があると述べた。

  ラーブ英副首相はスカイニューズとのインタビューで、ワクチン接種の義務化の可能性を否定した。ただ、接種を受けない人は「無責任だ」とした。

  米国ではオミクロン株への新規感染者がニューヨーク市で3人増えたほか、マサチューセッツ州で初の感染症例1件が報告された。州外に旅行した20代のワクチン接種済みの女性だった。4日はウィスコンシン州とコネティカット州でも初のケースが確認された。

  米ジョンズ・ホプキンズ大学とブルームバーグの集計データによると、世界の新型コロナ感染者数は2億6574万人、死者は525万人をそれぞれ上回った。

原題:Omicron Isn’t Fueling Surge in Hospitalizations: Virus Update(抜粋)